康熙字典解説
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【酉集下】【酉字部】酒;康煕筆画:10;頁碼:1281 頁 03 行
【唐韻】「子酉切」に読み、声調は「愀」の上声に同じ。
【説文解字】「就」と釈す。人性の善悪を成ずるに用うるものなり。一説に「造」といい、吉凶の事の造るところとす。
【釈名】酒とは「酉」の義なり。米と麹をもって醸し、酉時(長時を指す)に醖釀すれば、味醇美となる。また「踧」(局促不安)ともいう。能く飲むと否とに関わらず、強いて勧めて飲ませるを指す。また酒一口咽喉を下れば、脸上みな局促の表情を現すによるなり。
【周礼・天官・酒正】三酒を弁ず。一には事酒、二には昔酒、三には清酒。
【注】事酒は事ある時に飲む酒なり。昔酒は事なき時に飲む酒なり。清酒は祭祀に用うる酒なり。
【前漢書・食貨志】酒は百薬の長なり。
【東方朔伝】憂いを除くるに酒に如くものなし。
【江純・酒誥】酒の起こりは上古の帝王に始まり、天帝の女(一説に杜康)によって醸されたり。
また、酒は明水なり。
【礼記・明堂位】夏后氏は明水を尚び、殷は醴酒を尚び、周は酒を尚ぶ。
また、天酒とは甘露なり。
【瑞応図】君王徳政恩恵を施せば、甘露降り注ぐ。甘露をまた天酒という。
また、官名なり。
【周礼・天官】「酒正」を置く。
【注】酒官の長なり。
【又】「女酒」を置く。
【注】醸酒に通ずる女奴を指す。
また、「祭酒」は尊称の号なり。
【前漢書・伍被伝】劉氏の祭酒と称せらる。
【注】祭祀には尊長のみにて酒を洒ぎて祭奠するを得べし。
また、酒旗は星宿の名なり。
【曹植・酒賦】天漢の酒旗星の光輝を仰げば、その美名天上の星辰と相合す。
また、地名なり。
【左伝・荘公二十二年】周の天子、虢公に酒泉を賜いて封邑とす。
【注】封邑は河南に在り。
又【前漢書・武帝紀】その地に武威郡・酒泉郡を置く。
【注】酒泉は今の粛州なり。
また、姓なり。明に酒好徳なる者あり。
また、人名なり。
【史記・晋世家】晋の静公、名を倶酒という。
又【韻補】葉韻して「子小切」と読み、音「剿」に近し。
【詩経・鄭風】叔狩りに往く。巷に飲酒する者なし。真に飲酒する者なけんや。ただ叔(が如き人)に如かざるのみ。彼実に俊美好し。
【易林】白茅にて漉したる甘酒、霊験ある巫跪きて祷る。神霊喜んで飲食を享け、人を長寿不老ならしむ。
又、葉韻して「子与切」と読み、音「苴」に近し。
【張超・誚青衣賦】東に向かい長跪し、親しく美酒を歓飲す。諸神を請じ来たりて、邪僻の行いに主見なきを叱責す。
考証:【周礼・天官・酒正】女酒。【注】女奴の酒を焼く者。謹んで按ずるに、原文「焼酒者」を「暁酒者」に改む。