康熙字典解説
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【巳集上】【水部】泥;康煕筆画:9;頁碼:617 頁 11 行
『広韻』に「奴低切」、『集韻』『韻会』『正韻』に「年題切」とあり、音は「ニ(ní)」と読む。水名なり。
『説文解字』に曰く、「この水は北地郡郁郅県の北にある蛮地に発す」。
また潏水の別名なり。『長安志』に載す、「潏水、今これを泥水と称す」。
また江州の洣水も亦た泥水と称す。『前漢書・地理志』に曰く、「長沙国茶陵県に泥水あり」。
また水土の混合物を指す。『尚書・禹貢』に曰く、「その土は湿りて泥なり」。
また汚穢を指す。『易経・井卦』に曰く、「井底に泥あれば飲むべからず」。
また丘の名なり。『爾雅・釈丘』に曰く、「雨水の積みて留まる所を泥丘と謂う」。
泥中は衛国の邑なり。『詩経・邶風』に曰く、「曷為乎泥中に在らんや」。
泥陽は県名なり。『史記・酈商伝』に曰く、「蘇駔、泥陽に軍す」。『前漢書・地理志』に曰く、「北地郡に泥陽県あり、王莽時に改めて泥陰と名づく」。
また軟弱を指す。『爾雅・釈獣』に曰く、「威夷という獣、背長くして軟弱なり」。
また虫の名なり、東海に産し、水を得れば生き、水を失えば泥のごとし。『杜甫の詩』に曰く、「先ず一酔に拼じ、泥のごとく酔え」。
紫泥は皇帝の詔書を封緘するに用うる物なり。『西京雑記』に曰く、「中書省、武都の紫泥をもって璽函となし、外に緑帛を加う」。
青泥は水名なり。『長安志』に曰く、「藍田県の南に青泥水あり、魏かつて青泥軍を置く」。
また坊の名なり。『杜甫の詩』に曰く、「飯は青泥坊底の芹を煮る」。
蜀人は窓を糊することを泥窓と謂う。『花蕊夫人宮詞』に曰く、「紅錦の泥窓、四廊を繞らす」。
渤泥・仏泥は皆国名なり。『諸蕃風俗』に曰く、「仏泥国は広州の東南に在り」、宋濂『渤泥入貢記』を書く。
また『薛俊・日本寄語』に曰く、「星を付泥と呼び、金を空措泥と呼び、銀を失禄楷泥と呼び、船を浮泥と呼ぶ」。
また姓なり。漢代に犍為郡に功曹泥和という者ありき。
また『広韻』に「奴礼切」、『集韻』『韻会』『正韻』に「乃礼切」とあり、音は「ニ(nǐ)」と読む。泥泥は露の濃重なるさまを形容す。『詩経・小雅』に曰く、「彼れ高き蒿よ、降る露漣漣たり」。
また柔潤にして光沢あるさまを形容す。『詩経・大雅』に曰く、「方苞方体、その葉泥泥たり」。また「柅」とも書く。
また『広韻』に「奴計切」、『集韻』『韻会』『正韻』に「乃計切」とあり、音は「ネイ(nì)」と読む。拘泥・阻滞を指す。『論語』に曰く、「遠大なる図に務むれば恐らくは泥みて通ぜざらん」。
また『集韻』に「乃定切」とあり、音は「ニン(nìng)」と読む。泥母は地名なり。
また亭の名なり。『左伝注』に曰く、「高平方与県の東に泥母亭あり、音『寧』のごとし」。
また「涅」に通ず。『史記・屈原伝』に曰く、「皭々たるもの、黒泥に染まりて黒くならず」。〔注〕泥の音は「涅」に同じ。
考証:また汚穢を指す。『易経・井卦』「井泥食わず」。謹んで按ずるに、程頤の伝解に曰く、「井水飲むべからざるは污泥の汚染によるなり」。「杇」を「汚」に改む。