康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 84 ページ)
【寅集下】【干部】干;康熙筆画 3;頁 84【唐韻】古寒切【集韻】【韻会】居寒切、音竿。【説文】干、犯なり。【左伝・文公四年】其れ敢へて大礼を干して、自ら戾りを取らんや。【晋書・衛玠伝】意に非ずして相干するは、理を以て遣るべし。又【爾雅・釈言】干、求むるなり。【書・大禹謨】道を違へて百姓の誉を干ること勿れ。【論語】子張禄を干ることを学ぶ。又盾なり。【揚子・方言】盾、関より東は或いは盾支と謂ひ、或いは干と謂ふ。関西は之を盾と謂ふ。【書・大禹謨】干羽を両階に舞ふ。【詩・大雅】干戈戚揚。又司干、官名なり。【周礼・春官】司干は舞器を掌る。又【爾雅・釈言】干、扞なり。【注】相ひ扞衛す。【疏】孫炎曰く、干盾は自ら蔽ひ扞ぐ。【詩・周南】公侯干城。【疏】干城とは、武夫を以て自ら固め、扞蔽すること盾のごとく、防守すること城のごとくなるを言ふなり。又澗なり。【詩・小雅】秩秩斯干。【伝】干、澗なり。又水涯なり。【易・漸卦】鴻干に漸く。【注】干は大水の旁を謂ひ、故に水を停むる処なり。【詩・魏風】之を河の干に寘く。【伝】干、厓なり。又国郊を干と曰ふ。【詩・邶風】出でて干に宿す。【伝】干は国郊を言ふなり。又【韻会】若干は、数未だ定まらざるの辞にして、猶ほ幾許を言ふがごとし。【礼・曲礼】天子の年を問ふ。対へて曰く、始めて衣を着る若干尺と聞くと。【前漢・食貨志】或いは軽銭を用ひて百に若干を加ふ。【注】師古曰く、若干は且つ数を設くるの言なり。干は猶ほ個のごとし。当に此の数の如くあるを謂ふなり。又甲より癸に至るを天干と為す。【皇極経世】十干は天なり。十二支は地なり。支干は天地の用を配するなり。【皇極内篇】十を干と為し、十二を支と為す。十干とは、五行に陰陽有るなり。十二支とは、六気に剛柔有るなり。又闌干は、横斜の貌なり。【古楽府・善哉行】月没けて参横じ、北斗闌干たり。又【韻会】闌楯の間を闌干と曰ふ。【李白・清平調】沈香亭北に倚りて闌干す。又【韻会】眼眶を闌干と謂ふ。【正韻】闌干は、涙流るるの貌なり。【談藪】王元景梁に使ひ、劉孝綽別を送りて泣下す。元景涙無く謝して曰く、別後当に闌干すべしと。【白居易の詩】玉容寂寞として涙闌干たり。又蘭干は苧なり。【後漢書・哀牢国伝】蘭干の細布、文章を織り成すこと綾錦のごとし。【華陽国志】蘭干は獠の言に苧なり。又干将は剣名なり。【呉越春秋】干将は呉人なり。莫邪は干将の妻なり。干将剣を作れば、莫邪髪を断ち爪を剪じて炉中に投ずれば、金鉄乃ち濡れて、遂に以て剣を成す。陽を干将と曰ひ、陰を莫邪と曰ふ。又干遮は曲名なり。【司馬相如・子虚賦】淮南干遮。【注】干遮は曲名なり。又射干は木名なり。【荀子・勧学篇】西方に木有り、名づけて射干と曰ふ。又草名なり。【本草図経】射干は花白く茎長く、射人の干を執るがごとし。【後漢書・寵伝】陽気始めて萌え、十一月に蘭・射干・芸荔の応あり。又獣名なり。【司馬相如・子虚賦】騰遠射干。【注】射干は狐に似て、能く木に登る。又野干も亦獣名なり。【法華経】野干は体痩せて目無く、諸の童子に摘擲せられて、諸の苦痛を受く。又発干・蘭干・余干は県名なり。【後漢書・郡国志】東郡に発干県有り、漢陽郡に蘭干県有り。【隋書・地理志】鄱陽郡に余干県有り。又長干は地名なり。【左思・呉都賦】長干延属す。【注】建業の南五里に山岡有り、其の間の平地に吏民雑居す。東長干の中に大長干・小長干有り、皆相連なる。地に長短有るを以て、故に大小長干と号す。韓詩に曰く、考盤干に在りと。地下にして黄なるを干と曰ふ。又姓なり。【左伝・昭公二十一年】宋に干犨有り。【劉向・別録】干長有り、天下忠臣九篇を著す。又段干・干己は復姓なり。【史記・老子伝】老子の子名づけて宗と曰ひ、魏の将と為り、段干に封ぜらる。【注】段干は応に魏の邑名なるべし。而して魏世家に段干木・段干子有り。田完世家に段干朋有り。疑ふに此の三人は姓段干なるべし、本蓋し邑に因りて姓と為れるなり。【何氏姓苑】漢に干已衍有り、京兆尹と為る。又【集韻】居案切、音盰。扞なり。【詩・周南】公侯干城。沈重読む。又【篇韻】音寒。国名なり。【淮南子・道応訓】荊に佽飛有り、宝剑を干隊に得たり。【注】干国は今臨淄に在り、宝剑を出す。又【韻会】奸に通ず。【前漢・劉向伝】数々死亡の誅を奸す。又忓に通じ、干预なり。【唐書・万寿公主伝】時事に忓ること勿れ。又【韻会】竿に通ず。【後漢書・董卓伝】金華青蓋に乗り、瓜画両轓を具ふ。時人竿摩車と号す。其の服飾天子に近きを言ふなり。【注】竿摩は相ひ逼近するを謂ふ。今俗に事を以て人に干る者を相竿摩と謂ふ。又矸と通ず。【集韻】矸は石なり。或いは省みて干と作す。又豻と通ず。【類篇】豻或いは干と作す。【儀礼・大射儀】量人道を量り侯干五十。【注】干は豻と読む。豻侯とは豻鹄豻飾なり。又古に乾に通ず。【初月帖】淡悶干嘔す。楊慎曰く、淡は古に淡液の淡、干は古に干湿の干なり。今談を以て痰と作り、干を以て乾と作るは非なり。又叶経天切、音堅。【黄庭経】紫を抱き黄を回して丹田に入り、霊液を漱咽すれば災干らず。考証:【韻会】闌板の間を闌干と曰ふ。謹んで原文に照らし板を楯に改む。