康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 932 ページ)
【未集下】【至字部】致;康煕筆画:9;頁 932
【広韻】【集韻】音は「陟利切」で、「躓」に同じ。
【説文解字】「送り届ける、送る」と釈す。
【春秋・成公九年】夏、季孫行父は宋へ行き、「女を致す」。
【注】女子が嫁いで三ヶ月後、改めて大夫を派遣して随行させ聘問することを、「女を致す」という。
【礼記・曲礼】田宅を献上する者は、詳細を記した文書を持って致送する。
【注】田宅の数量を詳しく記した文書を、相手に致送する。
また「招き寄せる、引き入れる」とも釈す。
【楊升庵外集】「致」には「獲得する」の意味を含む。
【易経・繋辞】物品を整えて用いに供する。
【疏】天下の万物を整え、天下の用いるところを引き入れることを言う。
【周礼・地官・遂人】凡そ郊野の土地を治めるには、最も低い役令をもって百姓を召集する。
【注】「致」は会集するが如し。百姓は上田・中田・下田を受ける雖も、最も低い役令の基準によって会集し統算する。
また「返還する、归还する」とも釈す。
【礼記・曲礼】大夫は七十歳に至れば「事を致す」。
【注】自己が掌る事務を君主に返還し、老いて退休する。
【疏】「置」(放置する)と言わずして「致」(送り届ける)と言うのは、「置」は廃絶断絶を意味し、「致」は他人に交付することを意味して、朝廷に必ず賢能の人が自己に代わる者があることを示すためである。
また「伝達する、取り次ぐ」とも釈す。
【詩経・小雅】工祝(祭祀を主持する祝官)は神に告げる辞を伝達する。
【箋】祝官はここに孝孫の心意を取り次ぎ、尸主(死者に代わって祭を受ける者)に祭祀の円満なる完成を禀告する。
また「極め尽くす、極点至る」とも釈す。
【尚書・盤庚】汝ら衆人、我が戒めを仔細に伝達せよ。
【伝】我が誠意を極め尽くして、汝ら衆人に戒める。
【礼記・礼器】倣效すれども极致に到らざることあり。
【疏】「致」とは即ち极致なり。
また【礼記・楽記】音楽を深く体察して内心を修養す。
【注】「致」とは審察し、深く体悟するが如し。
また「託す、献ずる」とも釈す。
【易経・困卦】君子は志を実現するために生命を惜しまず献ず。
【論語】君に事えてその生命を献ずることを得。
【朱注】「致」とは託す、献ずるが如し。
また「誠心、情意」とも釈す。
【老子・道徳経】之を(ある状態に)至らしむ。
【注】「致」とは即ち誠心、専一なり。
また挑戦することを「師を致す」という。
【左伝・宣公十二年】楚の許伯は楽伯のために車を駕し、摂叔は車右となり、晋軍に挑む。
【疏】「師を致す」とは、必ず戦いを求める意志を表すことなり。
また「情態、韻致」とも釈す。
【水経注】茂密なる竹林は秀美にして愛すべきく、情態は賞玩に堪う。
【六帖】崔遠の風度韻致は厳整峻抜なり。
【王縉詩】自然に高雅の情趣を成す。
また「到る、至る」とも釈す。
【周礼・春官・大卜】三種の占夢之法を掌る。第一を「致夢」という。
【疏】「致」を「至」と釈するのは、夢の到るところなればなり。
また「節制す、制御す」とも釈す。
【管子・白心篇】有所りて節制するを以て準則とす。
【注】「致」はそれらの事を節制する所用なれば、故に準則と為す。
また【易経・繋辞】一目標に帰向すれども百種の思慮あり。
【疏】帰向する目標は一なる雖も、思慮は必ず百種あり、思慮百種あれども必ず一致に帰することを言う。
また「近づく、就く」とも釈す。
【老子・道徳経】故に数車の近くに就けば、(全き)車を見ず。
【注】「致」とは近づくなり。人が車に近づきてその部件を数うるを言い、輻なり、輪なり、轂なり、轅なり、箱なり、いずれの部件も単独にて車と称すべきものなし。
また【詩経・大雅】ここに神霊を招来し、ここに之を依附せしむ。
【伝】「致」とは、其の社稷の衆神を招来するなり。
【疏】「致」とは、之を到来せしむるの説法なり。
また「細密、精密」とも釈す。
【礼記・礼器】天地の万物を化生する功能は極めて精微なり。
【注】「致」とは即ち細密なり。
【前漢書・厳延年伝】文書法度は周密にして推翻すべからず。
【注】其の案巻文書が厳密斉整なるを言う。
また「緻」(細密)に通ず。
【礼記・月令】孟冬十月、工師に成效を呈献させ、祭器を陳列せしめ、規格程式に従い、必ず做工精良細密なるを上等とす。
【注】工艺功夫の細密なるを言う。「緻」と「致」はこの義において同じ。