【寅集下】【廾部】異。康煕筆画:12。頁碼:353 頁 12 行。『広韻』与之切、『集韻』『韻会』盈之切、『正韻』延之切。音は怡。『広韻』に「已なり」とあり。『書経・堯典』に「異哉、試みて可ならば乃ち已む」と見え、『伝』に「異は已なり、退く也。余人は皆已み、惟だ鯀のみ試みるに可なり。成るなくんば退く」と釈す。『正義』に「異の声は已に近く、已は止と訓ず。これ停住の意なれば、故に退くと為す」とある。また『集韻』に「嘆を発する也」とあり。また『唐韻』『集韻』『韻会』羊吏切、『正韻』以智切。怡の去声。『説文』に「挙ぐ也」とあり。また『広韻』に「退く也」とあり。また「異」に通ず。『列子・楊朱篇』に「何を以て異せんや」と見える。異の古文。『唐韻』『集韻』『韻会』羊吏切、『正韻』以智切。移の去声。『説文』に「分つ也。廾に従ひ、

に従ふ。予う也」とあり。『博雅』に「異は分つ也」とある。『史記・商君伝』に「民二男以上有りて、分ち異ならざれば、其の賦を倍す」と見える。また「同じからざる也」。『書経・旅獒』に「王乃ち徳を昭らかにし、之を異姓の邦に致す」とあり。『礼記・儒行』に「同じきも与せず、異なるも非とせず」と見え、『疏』に「謂う彼人と己との疎異、所為は善ならば、則ち非毀せざる也」と釈す。また「怪しき也」。『釈名』に「異とは、常に異なる者なり」とあり。『左伝・昭公二十六年』に「据りて異有りと為す」と見え、『注』に「異は猶お怪のごとし」とある。『史記・屈賈伝』に「異物と化して兮、又何ぞ患うに足らん」と見える。また「奇なり」。『周礼・地官・質人』に「成市の貨賄・人民・牛馬・兵器・珍異を掌る」とあり、『注』に「珍異は四時の食物なり」とある。『史記・仲尼弟子伝』に「業を受け身に通ずる者七十有七人、皆异能の士也」と見える。また「違う也」。また姓なり。唐の異牟尋、唐に帰し、南詔王に冊封さる。今白水蛮に此の姓有り。また異は翹草の名なり。『爾雅・釈草』に「連異翹」とある。また無名異は薬名にして、主に金創折傷を治す。また『韻補』に「延知切に叶い、音は怡」とあり。『詩経・邶風』に「洵に美しく且つ異なり」、下に「貽」に叶う。また「弋質切に叶い、音は逸」とあり。『詩経・小雅』に「亦た祇以て異なり」。『朱注』に「逸は織の反」とある。『無名氏楽徳歌』に「見る所奇異なり」、下に「甘美酒食」に叶う。異の考証:『周礼・地官・質人』に「賞成市の貨賄・人民・牛馬・兵器・珍異」とある。謹んで原文に照らし、「賞」を「掌」に改む。