康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 451 ページ)
【卯集中】【手部】挚;康煕筆画:15;頁 451【唐韻】【集韻】【韻会】「脂利切」に読み、音は「至」に同じ。【説文解字】握り持つと釈す。別に「至」の意ともいう。【爾雅・釈詁】「臻」(至る)と釈す。【注】挚とは執り持つことで、「至」の意を表すものなり。【書・西伯戡黎】「大命不挚」。【注】天命を受ける者、何ぞ至らざるや、の意なり。【詩・周南・関雎伝】「雎鳩挚而有別」。【箋】挚は「至」の意にして、情志厚くして別あるを指す。また物を持って初見の礼とするを指す。「贄」「質」と通ず。【礼記・曲礼】凡そ見面の礼、天子は鬯酒を用い、諸侯は玉圭を用い、卿は羔を用い、大夫は雁を用い、士は雉を用い、庶人の見面の礼は鶩なり。【周礼・春官・大宗伯】「禽を以て六挚を作す」。【注】執り持つ所の礼物にして以て其の心を致すを指す。また進献を指す。【戦国策】親しみ熟れる者の進献諂諛は本より固し。また極・甚だしきを指す。【周礼・冬官考工記・函人】「凡そ甲鍛えて挚ならずんば、則ち堅からず」。【注】挚は「致」(極致に至る)の意なり。【疏】鍛えること極めて精熟せるを指す。【前漢書・韓安国伝賛】「其の挚に臨みて顛墜す」。また傷害・摧折を指す。【礼記・月令】孟春の時に冬の政を行えば、則ち水潦敗れ、雪霜甚だしく万物を摧折せん。また「鷙」と通ず。【礼記・曲礼】「前に挚獣有れば、則ち貔貅を載す」。【疏】挚獣とは虎狼の類の猛獣を指す。また【儒行】「鷙虫攫搏す」。【疏】「虫」は鳥獣の通称なれど、獣類の「挚」は「執」の下に「手」を加え、鳥類の「鷙」は「執」の下に「鳥」を加う。また国名を指す。【詩・大雅】「挚仲氏任」。【国語・周語】「昔挚畴の国也、大任由る」。【注】挚・畴は二国にして、姓は任、奚仲・仲虺の後、太任の母家なり。また人名を指す。【蔡邕・釈誨】「伊挚鼎を負うの衒有り」。【注】挚は伊尹の名なり。また【正韻】「支義切」に読み、音は「寘」に同じ。意亦同じ。また【集韻】【韻会】「陟利切」に読み、音は「致」に同じ。【広雅】「解」と釈す。また「軹」と通ず。低きを指す。【周礼・冬官考工記・輈人】「大車の轅挚ならば、其の登ること又難し」。【注】挚はすなわち「輖」(低き)なり。【又】「大車平地既に軒挚の任を節す」。或いは「」と作る。また「輖」とも作る。また「職日切」に読み、音は「質」に同じ。姓なり。【前漢書・貨殖伝】京師の富人、茂陵の摯綱有り。【後漢書・馬融伝】京兆の摯恂。【晋書・摯虞伝】京兆、長安の人。字形は執り持つを表す「執」に従い、本は「」と作る。