康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 123 ページ)
【子集下】【儿部】元;康熙画数:4;ページ番号:123 ページ 06 行
【唐韻】【集韻】【韻会】「愚袁切」と注し、音は「原」に同じ。
【精薀】に曰く、天地の最も根本なる徳にして、万物生長繁育の根源なり。
「元」の字は「二」と「人」より成り、「仁」の字は「人」と「二」より成る。
天に在っては之を「元」と称し、人に在っては之を「仁」と称し、人体に在っては最も要なる部分を指す。
【易・乾卦】に曰く、元は衆善の長なり。
又【爾雅・釈詁】に曰く、元は始なり。
又【広韻】に曰く、元は長なり。
又大を意味す。【前漢・哀帝紀】に曰く、基業の大事の大命なり。【注】顔師古曰く、改めて上天の大命を受けるなり。
又頭・首を意味す。【書・益稷】に曰く、君明らかなり。【前漢・班固叙伝】に曰く、皇上冠冕を正す。【注】顔師古曰く、元は即ち頭なり。故に冠を元服と称す。
又根本を意味す。【後漢・班固伝】に曰く、根を追い窮を究む。
又百姓を元元と称す。【戦国策】に曰く、海内を治め百姓を撫育す。【史記・文帝本紀】に曰く、天下の百姓を保つを以てす。【注】古え人を善人と称す。善即ち元なるが故に黎元と称す。元元と説くは、独り一人を指すにあらず。
又【公羊伝・隠公元年】に曰く、元年とは何ぞや。君の即位する初の年なり。【左伝注】に曰く、凡そ君の即位するや、其れ本を体し正に居らんことを冀うが故に、一年一月と称せず。【羅泌・路史】に曰く、元は史官の基本の語なり。君の即位する初の年を元と称す。古え史官皆然り。太甲元年を記して元祀と称す。虞夏の世既に元祀の説有り。必ずしも『春秋』より始めて定例となるにあらず。
又気を意味す。【公羊伝注】に曰く、「一」を変じて「元」と為す。元は即ち気なり。
又正月朔日を元日と称す。【書・舜典】に曰く、月正元日。【注】朔日を指す。
又諡法に曰く、行義悦民、始建国都、主義行徳なれば、諡して元と為すべし。
又姓なり。【韻会】に記載す。『左伝』に衛の大夫元咺有り。
又後魏の孝文帝拓跋氏姓を元氏に改め、郡望は河南に在り。
又【韻補】に叶音「虞云切」、音「輑」に同じ。【桓譚・仙賦】に曰く、呼けば則ち旧気を出し、吸えば則ち新気を納る。屈伸導引し、精気を関元に積む。【史記・叙伝】に曰く、楚の荘王賢なり、国を復す。既に鄭伯を赦し、華元より師を還す。
按ずるに、「新」の字は文韻に属せず。
考証:【書・堯典】「月正元日」。謹んで按ずるに、原書は『堯典』を『舜典』に改む。