康熙字典解説
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【辰集下】【歹部】殪;康煕筆画:16;頁碼:583 頁上段 25
古代文献による記載:
『唐韻』および『正韻』には「於計切」と注音され、『集韻』および『韻会』には「壹計切」と注音され、音は「翳」に同じ。
『説文解字』に曰く、死なり。
『左伝・隠公九年』に、鄭伯が戎を防ぎ、前後より夾撃して悉く殪(ころ)せりとあり。
杜預の注に、殪とは即ち死の義なりとす。
また絶滅を指す。
『尚書・康誥』に、天乃ち大命を文王に降し、以て殷を殪(ほろぼ)さしめたとあり。
また尽くす、全てを指す。
『左伝・宣公六年』に、中行桓子曰く、彼をして其の民を害せしめ、悪既に盈つるを待ち、而して後に一挙して殪(つく)すべしとあり。
杜預の注に、殪とは即ち尽の義なりとす。
また倒れる、仆れるを指す。
『後漢書・光武帝紀』に、王莽の軍大いに敗れて奔り、走る者相践み、殪(たお)れたる屍百余里に満ちたりとあり。
注に、殪とは即ち仆の義なりとす。
また一矢をもって射殺するを殪という。
『詩経・小雅』に、此の大兕を射て殪(ころ)すとあり。
司馬相如『上林賦』に、流矢繽紛として中てれば、応声して殪(たお)るとあり。
また「瘞」(音イ、埋葬の義)に通ず。
『儀礼・覲礼』に、川を祀るには沈祭を用い、地を祀るには瘞祭を用いるとあり。
鄭玄の注に、古文において「瘞」を「殪」に作るとす。
また「翳」(音イ、遮蔽、あるいは樹木枯死の義)に通ず。
『韓詩・大雅』に、其の葘(くさね)たるもの、其の殪(たお)れたる木とあり。
文字を解して曰く、葘とは草根の翻り出づるなり。殪とは憑(よ)るなり。高きに憑りて低きを平らぐ。今の『詩経』の版本には「其の葘其の翳」と作る。