康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 375 ページ)
【卯集上】【心部】心;康煕筆画:4;頁碼:375 頁 01 行
【唐韻】息林切【集韻】【韻会】【正韻】思林切。
【説文】人心なり。土蔵にして、身の中に在り。象形なり。博士の説は以て火蔵と為す。
【徐曰】心は大火なり。然らば心は火に属す。
【玉篇】【広韻】火蔵と訓ず。
又【荀子・解蔽篇】心は形の君にして、神明の主なり。
【礼・大学疏】万慮を総包するを心と謂う。
又【釈名】心は繊なり。識る所は繊微にして貫かざるなし。
又本なり。
【易・復卦】復に其れ天地の心を見るか。
【注】天地は本を以て心と為す者なり。
【正義曰】天地寂然として動かずと言うは、是れ本を以て心と為す者なり。
【礼・礼器】松柏の心有るが如し。
【注】気の本を得るなり。
【孔疏】気の本を得、故に四時を巡りて柯葉凋改すること無し。心は本を謂うなり。
又中なり。心は身の中に在り。
【詩序】情中に動ず。
【正義曰】中は中心を謂う。凡そ中央を言うを心と曰う。
【礼・少儀】牛羊の肺、離れて心を提げず。
【注】心を提げずとは、中央を絶たざるを謂うなり。
【古歌】日当心に出ずとは、日中を謂うなり。
【邵雍・清夜吟】月天心に至るとは、月天中に当るを言うなり。
又東方五度、宿の名なり。
【史記・天官書】心は明堂と為す。
又【礼・明堂位】夏后氏心を祭る。
【注】気主として盛んなるなり。
又【月令】季夏先に心を祭る。
【注】五蔵の次、心は肺に次ぐ。此に至れば則ち心を尊と為す。
又去声。
【呉棫・韻補】息吝切。
【外紀】禹曰く「堯舜の民、皆堯舜の心を以て心と為す」。下の心字は去声。
又思真切に叶い、音新。
【前漢・安世房中歌】我歴数を定め、人其の心を告ぐ。身を勅めて斉戒し、教を施して申申たり。
又先容切に叶い、音松。
【詩・大雅】吉甫頌を作って、清風の如し。仲山甫永く懐いて、以て其の心を慰む。
【前漢・礼楽志】流星隕ち、惟風に感じ、帰雲を嚙み、懐心を撫す。
又思征切に叶い、音騂。
【揚子・太経】心に勤めて否や貞や。
又桑鳩切に叶い、音修。
【荀子・解蔽篇】鳳凰秋秋たり、其の翼干の若く、其の声簫の若し。鳳有り凰有り、帝の心を楽しむ。簫は疏鳩切に叶う。
又思敬切に叶い、音性。
【王微・観海詩】善即ち誰か御と為さん、我来りて別心無し。聊ら茲に興を寓す、茲に興は何をか詠ぜん。
【説文長箋】華心の形を借り、故に惢の字は心に従う。今文に就きて言うなり。精蘊同文諸書の如きは、各々意を以て古文を闡む。今文と稍遠し、概ね泛く引かず。
【類篇】偏旁は忄と作る。亦作る。
按ずるに『字彙』『正字通』に心倶に辛と音すとあるは誤りなり。辛は真韻に在り、斉歯音なり。心は侵韻に在り、閉口音なり。心字の去声の如き、音信に近し。然れども竟に信字の音を以て之にすべからず。蓋し信字は真韻内の辛字の去声にして、乃ち斉歯音なり。若し侵韻内の心字の去声は、乃ち閉口音にして、音有って字無し。字に直音を下すべからざる者有り、此类是れなり。蓋し斉歯の辛は商の中の商なり、閉口の心は商の中の羽なり。每一音中に五音を具え、別なかるべからず。