【卯集上】【心部】怒;康煕筆画:9;頁碼:380 頁 08 行。古文。『唐韻』乃故切、『集韻』『韻会』『正韻』奴故切、奴は去声。『説文』に「恚(いかり)なり」とあり。『増韻』に「憤(いきどおり)なり」とある。『揚子・方言』に「楚は怒を憑と謂う。憑は忍盛の貌。小怒を

と曰う。禁ずるを言ふ。苛と曰うは、相苛責するを言ふ」とあり。また「怒は訟を弁ずるなり」。『周礼・地官』に「凡そ怒有る者は、これを成す」とある。また馬の肥壮にして、その気憤盈なるを怒と曰う。『後漢書・第五倫伝』に「鮮車怒馬」と見える。また奮うなり。『荘子・逍遥遊』に「怒りて飛ぶ」とあり、大鵬の奮起すること怒るがごとしと言う。また『外物篇』に「草木怒生す」とあり、陽気に乗じて奮い出でて遏ぐべからざるを言う。また威怒なり。『礼記・曲礼』に「急ぎその怒を繕(おさ)む」とあり、注に「軍の威怒を堅勁ならしむ」と解す。また虎怒れば則ち威あり。『後漢書・賈彪伝』に「彪は字を偉節とす。兄弟三人にして、彪最も優れり。天下称して曰く、賈氏の三虎、偉節最も怒ると」とある。また怒は東方の気なり。『史記・天官書』に「旬始は状雄鶏のごとく、その怒青黒し」とあり、注に「怒の色青なり」と解す。また『玉篇』『広韻』『正韻』に奴古切、『集韻』『韻会』に暖五切、音は弩。義同じ。また乃都切に叶い、音は奴。『楚辞・九章』に「驕る吾を以って其の美好を、覧余を以って其の修姱。余に言ふて信ぜずんば、蓋余の為めに怒を造らん」とある。『顔師古・糾謬正俗』に曰く、「怒に二音あり。『詩』小雅『君子如怒』、大雅『逢天僤怒』は上声に読む。邶風『逢彼之怒』、小雅『畏此譴怒』は去声に読む。今山東・河北の人、但だ怒に去声有るを知り、上声有るを知らず。真を失えり。蓋し字に動静の音有り、人多く講ぜず、皆此类なり。心に従ひ弩を省く。怒は強弩の発するが若く、人怒れば則ち面目張り起つ。凡そ怒は心を以ってこれを節すべし。故に心に従ひ奴を以って怒と為す。」