康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 587 ページ)
【辰集下】【殳部】毅;康煕筆画:15;頁碼:587 頁 14 行。『唐韻』『集韻』に魚既切、『韻会』に疑既切とあり、音は「劓」に同じ。『説文解字』によれば、「妄りに怒る」と釈す。別に「決断ある」という説もあり、字形は「殳」を形旁とし、「豕」を声旁とする。「豕」は豚が怒って毛を逆立てるさまを表す。『正譌』は、「辛」を用いるのは剛硬を示すためであり、下に「豕」を会意して借り、「剛毅」の「毅」とすると説く。『尚書・皋陶謨』に「和にして毅たり」とあり、『正義』はこれを釈して、『左伝・宣公二年』に「敵を殺すを果といい、果たるを毅という」と記すと引く。すなわち、敢えて敵を殺す心こそ剛強堅毅なりという意味である。和なる者の欠点は決断なきにあり、ゆえに和しながらも決断あるをもって美徳となす。『論語』に「剛・毅・木・訥、仁に近し」とあり、また曾子曰く、「士は以て弘毅ならざるべからず」と。劉劭『人物志』に曰く、「温直而擾毅、木の徳なり。彊篤而弘毅、金の徳なり」。また州名なり。『輿地広記』に曰く、「武州は唐末に置き、文徳の一県を管す。後唐の長興元年に改めて毅州と名づく」。また鳥名なり。鶡鳥を「毅鳥」と称するのは、その性闘うことを敢えてするによる。『張華・禽経』に見え、また囲碁の術語なり。毅とは子を提ぐるをいう。子囲まれて死し、一局を終うるを「毅」といい、既に提げられたる子を再び随手に置くを「復毅」といい、俗称してまた「提」という。『徐鉉・囲棋義例』に見え、隷書には「𣪊」と書く。