康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 384 ページ)
【卯集上】【心部】恙;康煕筆画:10;頁碼:384 頁下段 23。『唐韻』『韻会』『正韻』余亮切、『集韻』弋亮切、音は漾。『爾雅・釈詁』に「恙は憂なり」とある。『疏』に曰く、「恙とは、『儀礼・聘礼』に『公、君を問う』とあり、賓これに対えて公に再拝す。鄭玄の注に『其れ恙なし』と云う。郭璞が言うには、今人が『恙なし』と云うは、憂いなきを謂うなり」。『広韻』に「憂なり、病なり」。また噬虫にして、善く人心を食む。『風俗通』に「噬虫は能く人心を食む。古え草居して、多く此の毒に被りし故、相問いて労うに『恙なし』と曰う。『戦国策』に趙の威后、斉の使に問いて曰く『王亦た恙なしや』。『説苑』に魏の文侯、倉庚に語って曰く『撃、恙なし』。前漢、武帝、公孫弘に報じて曰く『何ぞ恙已まざらん』。『晋書・文苑』に顧愷之、殷仲堪に箋して『布帆恙なし』。『隋書』に日本、使を遣わして皇帝に書を致し『恙なし』とす。皆な問労の辞なり」。また葉音して余章切、音は羊。『楚辞・九弁』に「専専として犯すべからざるを計り、願わくは遂に推して臧となさん。皇天の厚徳に頼りて、還た君の恙なきに及ぶ」。按ずるに恙に二義あり。一には虫とし、一には獣とす。『広韻』『玉篇』に分注して甚だ明らかなれど、『神異経』より合して一之す。字書混じて引くところ、『輟耕録』これを詳らかに弁ず。