康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 879 ページ)
【未集上】【竹部】笙;康煕筆画:11;頁碼:879 頁 29 行
【唐韻】【広韻】所庚切、【集韻】【韻会】【正韻】師庚切。音は「生」に同じ。
【広韻】楽器の名。
【世本】随という者が作ったと記す。あるいは女媧が作ったともいう。
【説文解字】笙は十三簧あり、鳳の形に象る。正月の音なり。万物生まるるが故に笙と名づく。
【釈名】笙は生なり。万物出づるを象る。
『博雅・釈楽』匏(ふくべ)を以てこれを作り、十三管あり。宮管は左方に在り。
【白虎通】笙は大蔟の気なり。万物の生ずるを象るが故に、これを笙と謂う。
【爾雅・釈楽】大なるを巣と曰い、小なるを和と曰う。
【注】大なるは十九簧、小なる和は十三簧あり。
【前漢・律暦志】匏類の器を笙と曰う。
【注】匏は即ち瓠(ふくべ)なり。竹管を瓠中に列ね、管頭に簧を施す。
【書・益稷篇】笙と鏞(大鐘)と間いて奏す。
【詩・小雅】笙と磬の声、和して応ず。
【周礼・春官】笙師、竽・笙の吹き方を掌りて教うる。
また「細小」の義あり。
【揚子・方言】笙は細の義なり。函谷関以西、秦・晋の間、凡そ細なる様を形容するを皆笙と曰う。
【広雅】笙は小の義なり。
また地名なり。
【左伝・宣公十八年】帰父、晋より帰り、笙に至る。
【注】笙は魯の境なり。
また竹簟(たけむしろ)の名なり。
【揚子・方言】竹簟を笙と曰う。
【左思・呉都賦】桃笙(桃枝竹をもって編める簟)と象簟とを筒に蔵む。
また叶韻して「師荘切」の音に同じ。
【詩・小雅】瑟を鼓し笙を吹く。「将」の字と韻を協う。「行」の字は「杭」と読む。
また【字彙補】疏臻切、音「莘」に同じ。
【史記・斉世家】ここに笙渎において子糾を殺す。
【索隠曰】鄒誕生の本は「莘渎」と作りて読み、「莘」と「笙」と音相近きが故なり。
考証:
「瓠を以てこれを作り、十三管あり。宮管は左方に在り。」謹んで按ずるに、この数句は『博雅』に出で、誤って『釈名』の語中に列せられたり。今「瓠を以て」の句の前に「博雅釈楽」の四字を増す。
【白虎通】「笙之言は施なり、牙なり。万物始めて施して牙ぐ、大蔟の気なり。」謹んで按ずるに、原文の「笙」の字は「匏」と作り、上の二句は「匏」を釈するものにして、「笙」の字に関係なし。今原書に据えて「笙は大蔟の気、万物の生ずるを象るが故にこれを笙と謂う」と改む。
【書・益稷謨】「笙鏞以閒。」謹んで按ずるに、『益稷』を「謨」と称せず。「謨」の字を「篇」に改む。