康熙字典解説
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【巳集中】【牙部】牙;康煕筆画:4;頁碼:695 頁 03 行
古文。【唐韻】五加切、【集韻】【類篇】【韻会】【正韻】牛加切。音「芽」に同じ。歯を指す。【説文解字】に「牡歯」と釈す。字形は上下の歯が交錯するさまに象る。【易経・大畜卦】に去勢された豚の歯に言及す。また【戦国策】に、骨を投げれば容易く獣らが歯をもって互いに争うとあり。【注】歯をもって互いに噛み合うを指す。
また【詩経・周頌】に、鐘磬を懸ける木架および横梁を設け、横梁に鋸歯状の高き牙飾りを刻み、羽を挿すとあり。【疏】鐘磬を懸くる横木に高き牙飾りを刻む。鋸歯整然として形突出するゆえ「業牙」と呼び、即ち横木上端の歯状部分なり。【礼記・明堂位】に殷代より既に此の高き牙飾りありと記す。
また【礼記・玉藻】に佩玉の中に「冲牙」と称する玉飾りあり。【疏】その形歯に似たり。
また【周礼・春官・典瑞】に「牙璋」を用いて軍を動かし、軍事の管理および防衛に用いるとあり。【注】牙璋とは牙状の紋を刻める玉璋にして、歯は兵器を象るがゆえ、牙璋をもって発兵す。
また【集韻】に旗の名とあり。【張衡・東京賦】に「牙旗紛紜」と見え。【注】古に天子出行の際、大なる牙旗を立て、旗竿に象牙を飾れり。
また【韻会】に軍営の帳前に立つ旗を牙門と称すとあり。【後漢書・公孫瓚伝】に「其の牙門を攻め抜く」と見え。
また【史記・東方朔伝】に远方より朝廷に帰順する者現れんとし、先ず祥瑞「騶牙」見ゆ。その歯前後一様にして整然とし異歯なきゆえ「騶牙」と名づく。
また姓なり。【風俗通】に周の大司徒君牙の後裔と記す。
また「芽」に通ず。【前漢書・金日磾伝】に霍氏に事の萌牙ありと見え。【注】師古曰く、萌牙とは事未だ稍々跡あらわるるを言い、草始めて発芽するがごとし。
また【集韻】に語下切、音「雅」に同じ。車輪の外周を指す。
また【集韻】に魚駕切、【韻会】に五駕切、音「訝」に同じ。【周礼・冬官考工記・輪人】に「牙」は車輪を堅固にし抱合せしむる部件なりとあり。【注】「牙」の音「訝」のごとし。車輪の外框を指す。【疏】訝は迎えるの義なり。此の車輪の外框も亦弯曲して両頭互相連接するがゆえ、音此の義に従う。
また【唐韻正】に古音「吾」に読むとあり。【詩経・小雅】に「祈父よ、我は王の爪牙なり。何ぞ我を憂患之地に置き、安身之处なからしむや」と見え。
また【唐韻正】に「虞」「吾」に通ずとあり。【詩経・召南】に「吁嗟乎騶虞」と見え。【山海経】【墨子】には「騶吾」と書き、【前漢書・東方朔伝】には「騶牙」と書く。
また葉韻に五紅切と読む。【詩経・小雅】に「誰か鼠に歯なしと言い、何を以て我が牆を穿つや」と見え。
また葉韻に「峨」と読む。【晋代京洛童謡】に「遥かに晋国を望めば何其巍峨たるかな、千年の髑髏歯を生ず」と見え。