康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 480 ページ)
【卯集下】【斤部】斯。『康熙字典』画数 12、頁碼 480 の 04。古代文献に拠れば、『広韻』は息移切、『集韻』『韻会』は相支切で、音は「私」に同じ。『説文解字』は「劈き開く、剖分する」と釈す。『爾雅・釈言』に「斯は離るるなり」とあり、註に「斉の方言にて斯と謂う」と見える。『詩・国風』に「墓門に棘あり、斧を以てこれを斯く」と見え、箋に「唯だ斧のみ能くこれを剖く」とある。『呂覧・報更篇』に「趙宣孟、桑下に餓れる者を見て、乾肉一片を与へて曰く、之を斯いて食せよ」とあり、註に「斯は即ち剖分なり」と見える。また『爾雅・釈詁』に「斯は此なり」とあり、『易・解卦』に「朋至して斯ず孚」、『詩・召南』に「何ぞ斯に違ふや」、また『詩・小雅』に「鹿斯く奔る」と見える。疏に「此の『鹿斯』および『斯柳』の『斯』は皆語助詞なり」とある。また『礼記・玉藻』に「両爵を飲みて斯々たり」とあり、註に「斯は耳のごとし」、疏に「耳は句を助くる虚字なり」と見える。また「すなわち、便ち」の義あり。『書・金縢』に「大木斯れて抜く」と見え、また「低微・卑賎」の義あり。『後漢書・左雄伝』に「郎官および諸司の吏、位斯く禄薄し」とあり、註に「斯は即ち賤し」と見える。また『正字通』に「鶏斯は馬の名なり。殷王、西伯を羑里に囚ふ。太公、犬戎の鶏斯を得て献ず」とあり、また「波斯は国の名なり」と見え、また姓あり。『呉志・賀斉伝』に剡県の吏斯従と見える。また「鮮」に通ず。『詩・小雅』に「兎首斯く白し」とあり、箋に「斯は白の義なり。今俗に『斯白』の斯を鮮と作る。斉魯の方言、音斯に近し」と見える。また「纚」に通ず。『礼記・問喪』に「鶏斯」と見え、註に「当に筓と作るべし。纚の音誤なり」とある。また『集韻』に山宜切、音「釃」に同じ、義も同じ。また『集韻』に斯義切、音「賜」に同じ。『詩・大雅』に「王赫斯り怒る」とあり、箋に「斯は尽く・全の義なり」、釈文に「鄭玄、賜と音す」と見える。また『韻補』に新於切に叶う。『蔡邕・短人賦』に「熱地の蝗虫芦蜆のごとく、蒲中の蛹蚕蠕くがごとく、矮人を見れば身形斯くのごとし」とあり。『集韻』に或いは「撕」と作り、また「廝」とも作る。