康熙字典解説
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【巳集上】【水部】沙;康熙画数 8;頁碼 611 頁 21 行。『唐韻』所加切、『集韻』『韻会』『正韻』師加切、音は紗。『説文』に「水を散ずる石なり。水に従い少に従う。水少なければ沙見ゆ。楚の東に沙水あり」とある。『水経注』に「逢沢の陂より東北流して新溝となり、また東北して梁に注ぎて沙水となる」とある。また『山海経』に「盧其の山、草木なく、沙石多し。沙水これより出でて、南流して涔水に注ぐ」とある。また潁水の別名なり。『爾雅・釈水』に「潁を沙と為す」とあり、注に「大水溢れて別に小水と為すの名を謂う」とある。また疏土なり。『易・需卦』に「沙に需う」とあり、『正義』に「沙は水旁の地なり」とある。『詩・大雅』に「鳧鷖沙に在り」とある。また州名。西徼外に在り、沙角山を取って名と為す。すなわち『三秦記』の鳴沙山なり。『広輿記』に「沙州の鳴沙山、峰勢危峻にして、沙は乾糖の如し。天気清朗なれば沙鳴り、数里の外に聞こゆ」とある。また流沙。西境極めて遠き地なり。『書・禹貢』に「西は流沙に被る」とある。また丘名。『爾雅・釈丘』に「逦迤を沙丘と曰う」とあり、疏に「丘形斜行して連接して長きを謂う」とある。また長沙。郡名。楚に属す。『広輿記』に「今湖広長沙府に長沙県あり」とある。また長沙。星名。軫の旁に在り、寿命を主る。『史記・天官書』に見ゆ。また水中に沙有るを沙衍と曰う。『天子伝』に「天子乃ち遂に東征し、南に沙衍を絶つ」とある。また沙汰。詳しくは汰字の注を見よ。また『謝察微・算経』に「十塵を沙と為し、十沙を繊と為す」とある。また木名。『范成大・桂海草木記』に「沙木は杉と同類にして、尤も高大なり。葉尖くして叢を成し、穂少なくして杉と異なる」とある。また豆名。『崔豹・古今注』に「狸豆、一名を狸沙とし、一名を猟沙とす。虎豆、一名を虎沙とす。馬豆、一名を馬沙とす」とある。また吹沙。魚名。『爾雅・釈魚』に「鯊鮀」とあり、郭璞の注に「今の吹沙なり」とあり、陸璣の注に「魚狭くして小なり。常に口を開いて沙を吹く。故に吹沙と曰う」とある。また小而甘美なるの称なり。『韓彦直・橘録』に「沙橘はその細くして甘美なるを取る。あるいは曰く、之を沙州の上に種うるが故に、其の味特に珍なりと。然るに邦人物の小にして甘美なる者を称するに必ず沙と曰う。沙瓜・沙蜜・砂糖の類のごとき、特に関中の方言耳」とある。また沙門。勤行を謂う。『仏説四十二章経』に「親を辞し出家して、心を識り本に達し、無為の法を解するを名づけて沙門と曰う」とある。また姓。宋の勇将に沙世堅あり。また借りて紗縠の字と為す。『周礼・天官』に「内司服素沙」とあり、注に「素沙は今の白縳なり。白縳を以て裏と為し、之をして章顕ならしむ。今世に紗縠有る者、名これに出ず」とある。また『集韻』蘇和切、『正韻』桑何切、音は蓑。亭名。元城に在り。『春秋・定公七年』に「斉侯・衛侯沙に盟す」とあり、注に「今陽平元城県東南に沙亭あり」とある。また犠に通ず。『詩・魯頌』に「犠尊将将」とあり、鄭玄の注に「素何反」とあり、『毛伝』に「沙飾有り」とある。また酒名。『儀礼・大射儀』「両壺献酒」の注に「献は沙と読む。沙酒濁り、特にこれを泲す。必ず沙を摩する者なり」とある。また『集韻』山宜切、音は釃。亦た水旁なり。また『広韻』『集韻』『韻会』所稼切、音は嗄。声嘶なり。『周礼・天官』に「内饔鳥皫色にして沙鳴し貍す」とあり、注に「沙は所嫁反、あるいは蘇他反」、疏に「沙は嘶なり」とある。按ずるに沙は本より蘇何・山宜の二切有り、再び歌支葉韻に入るべからず。今これを刪去す。考証:『周礼・天官』「内司服素沙」。注「素沙は今の白縛なり。白縛を以て裏と為す」。謹んで原画に照らし、両縛字を改めて縳と為す。