康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 691 ページ)
【巳集中】【爿字部】爿;康煕筆画:4;頁碼:691 頁 09 行
古代文献『篇海』に「疾羊切」と注音あり。『龍龕』に見え、意義は欠く。
『説文解字』に曰く、「牀(しょう)」の字は「木」を形旁とし、「爿」を声旁とす。
【注】徐鍇が言うに、爿はすなわち「牀」の略体なり。字形は人が身を斜めにして何かに倚りかかるさまに象る。「牆」「戕」「狀」等の字は、みな「牀」の略体を声旁とするものと見るべし。李陽氷が言うに、木の右側を「片」、左側を「爿」とす。
『説文解字』の原書に「爿」の字なきにより、李陽氷の説は誤りなるを知る。
鄭樵の『六書略』に曰く、爿は「殳(しゅ)」の義なり。また劈きたる木のこと。音は「牆」に同じ。隷書に「爿」と作る。
周伯琦の『六書正訛』に曰く、爿は音「疾羊切」、義は劈きたる木。字形は「木」の半分にして、左を「爿」、右を「片」とす。
『正字通』に曰く、唐版『説文解字』に「爿」部あり。張参の『五経文字』にも亦有り。周伯琦・鄭樵の二家はともに李陽氷の説を是とし、これ徐鍇の説と相反す。しかれども鄭樵が「殳」すなわち「爿」なりと言うは誤りなり。劈きたる木との説は较为近正なり。
按ずるに、徐鍇は常に博識をもって称せらる。もし唐版『説文』に真に「爿」部あらば、徐鍇は唐宋の間の人なるがゆえに、なしと言うべからず。しかも『玉篇』にも「爿」部なく、『類篇』は「爿」の偏旁を「片」部に併せ、『篇海』にはただ「牀」部あって、いずれも「爿」部を載せず。司馬光が言うに、これは伝写の誤りにて、「片」の字時に「爿」と作れるなりと。これ皆『説文』の説に従えるなり。もし周伯琦・鄭樵の二家の説に従いて徐鍇の説を廃すとも、必ずしも妥当ならず、姑く存して考証を待つべし。
また、『字彙』に音「蒲閑切」、読みて「瓣」に同じと注す。「爿」と「片」の音はいかなる所据によるや知らず、されど「爿」「片」の二字は、今の民間の音読み存す。