【巳集下】【牛部】犂;康熙画数 12;頁碼 701 頁 20 行
【広韻】郎奚切。【集韻】【韻会】怜題切。音は黎。
【玉篇】田を耕す農具。
【広韻】田地を開墾する器具。『山海経』に曰く、是れ後稷の孫・叔均の発明なり。『魏略』に曰く、皇甫隆が敦煌太守たりし時、百姓に楼犁を作らしめたり。
【管子・乗馬篇】壮夫には犁二副を与え、身長五尺の童には犁一副を与える。
【正字通】宋の淳化五年、武允成が踏犁一具を進献す。牛を用いず、人力をもって操作す。
また【広韻】田を耕すを指す。
『前漢書・匈奴伝』に「その王庭を犁平ぐ」とあり。
【注】師古曰く、犁とは耕すの義なり。
また『史記・呂后本紀』に「犁明」とあり。
【注】徐広曰く、犁は「比」に同じく、天まさに明けんとする時を指す。
また『史記・南越列伝』に「犁旦、城中の人皆伏波将軍に降る」とあり。
【注】徐広曰く、呂静以為らく、犁は「結」の義なり。結とは連なり、及び、至るの謂いなり。
また『史記・犁旦注』に索隠曰く、犁は黒の義なり。天未だ明けてなお漆黒なる時を指す。
また『史記・暦書』に「祝犁協洽」とあり。
【注】祝犁とは地支の「巳」を指す。
また『前漢書・匈奴伝』に「その国これを撑犁孤涂単于と称す」とあり。匈奴語にて天を撑犁と称し、子を孤涂と称す。
また『汲冢周書』に「繊犁」とあり。
【注】北方の狄族の別名なり。
『史記・秦本紀』に「丹犁蜀に臣す」とあり。
【注】丹犁は二つの戎族の称号なり。蜀に臣服す。
また『史記・匈奴伝』に「薪犁の国」とあり。
『前漢書・西域伝』に「蒲犁国の王、蒲犁国を治む」とあり。
また地名を指す。
『左伝・哀公十年』に「犁および轅を克く」とあり。
【注】犁はまた隰済と名づく。済南に隰陰県あり。
また『史記・西南夷列伝』に「笮都を沈犁郡と為す」とあり。
『前漢書・地理志』に「犁県、東郡に属す」。また育犁県あり、東莱郡に属す。
『後漢書・安帝紀』に「夫犁営を攻む」とあり。
【注】夫犁は県名にして、遼東属国に属す。
また人名を指す。
『左伝・昭公二十九年』に「顓頊氏の子に犁と名くる者あり、祝融と為る」とあり。
【注】犁は火正(火を掌る官)なり。
【広韻】「

」に同じ。
【集韻】本は「

」に作り、または省いて「犂」と作る。『類篇』または「

」と作る。
【正韻】また「犁」とも書く。
また【広韻】力脂切。【集韻】【韻会】良脂切。音は棃。
【広韻】毛色駁雑なる牛を指す。
『論語』に「雑色牛の生める犢」とあり。
【注】犂とは雑色の文様を指す。
また【集韻】一説に田を耕すを指すという。
また『尚書・泰誓』に「耇老を棄つ」とあり。
【伝】耇老を犁老と称す。
【疏】孫炎曰く、耇とは面色凍みて黒くなり、垢浮けるが如し。
【釈文】犂、音は力私反、また力兮反と読む。
また『春秋・定公六年』に「晋人、宋の行人楽祈犂を執る」とあり。
また『左伝・哀公十年』に「犁を克く」とあり。
【釈文】音は力兮反、また力之反。二音ともに可なり。
【集韻】または「斄」と作る。
【韻会】俗体は「犁」と作る。
また【集韻】力求切。音は留。犂然とは、明らかで分明なるさまを指す。
『荘子・山木篇』に「心犂然として人心に合するを感じたり」とあり。
音義(読み)は「留」なるべからず。