【子集上】【丿部】乏;康煕字典画数:5;ページ:第 82 頁第 10 行。
古音韻記載:【唐韻】房法切、【集韻】【韻会】扶法切、音「伐」に同じ。
字義:
1. ない、欠ける。
【孟子】その身を窮困貧乏に陥らしむ。
【礼記・月令】季春の月、有司に命じて困乏し生計絶えたる者を賑わしむ。
【注】暫く缺くるを「乏」という。
2. 匱乏す、足らざる。
【左伝・成公二年】韓厥曰く、不敏なるを冒して告げ、暫く官職に代りて其の闕を補う。
【注】猶お不足を補うがごとし。
3. 廃す、遅らす。
【荘子・天地篇】子行け、吾が事を妨ぐるなかれ。
【戦国策】国家の大事を廃するを敢えてせず。
4. 射の際に用いる蔽障(的の傍らの護具)。
【周礼・春官】車僕、大射に三乏を供す。
【注】また「容」ともいう。皮をもって作る。王の大射には三侯(的)を立て、各侯に一乏を配し、人に旌を持たせて中るを報じ、併せて矢を遮らしむ。
【儀礼・郷射礼】乏は侯道の三分の一に設く。
【疏】的より射道の三分一の距離を指す。
5. 字形分析:
【左伝・宣公十五年】「正」を反せば「乏」となる。
【説文解字】「止」を反せば「

」(これは「乏」の古体)となり、「正」を反せば「乏」となる。
【徐鉉注】『尚書』に「惟正之供」(ただ正しき所需のみを供す)とあり、「正」を反ずれば供せざるがゆえに「乏」という。
【通志】「正」は侯(的)を指し、矢を受けるに用い、「乏」は矢を蔵す(矢を遮る)に用いて、両者の作用相反す。