【酉集中】【豕部】豬;康熙筆画 16;頁 714
【唐韻】に陟魚切、【集韻】【韻会】に張如切とあり、音は「著」の平声に同じ。
【説文解字】に、毛が長く三本ずつ叢生する豚を指す。
【爾雅・釈獣】に、幼い豚を猪という。
【注】現在では彘ともいい、江東では豨といい、いずれも通称である。
【揚子・方言】に、呉・揚州の間では猪子という。
【埤雅】に、猪の性は疎にして直なり。
【揚子・太玄経】に、野に出て虚を見るに、虎して猪を牧す。
また山猪あり、すなわち豪猪なり。詳説は前出の「豪」の条に譲る。
また嶺南に懶婦猪あり。
【桂海虞衡志】に、懶婦猪は山猪に似て小なるも、禾苗を好む。農夫、織機等の紡具を田畔に懸くれば、近づかざるなり。
また猫猪あり。
【楊慎・丹鉛録】に、毛犀すなわち彖なり。吉凶を予知す。古人これを猫猪と呼び、交州・広州の人はこれを猪神と称す。
また石猪あり。
【蜀志】に、蜻蛉県に石猪あり。母子数千頭に至る。伝いに夷人かつてここに猪を牧し、一日にして皆石と化せりという。
また官名なり。
【魏志・東夷伝】に、夫余国は六畜の名をもって官を命名し、その一を猪加という。
また草名なり。
【博雅】に、伏猪すなわち木禾なり。
また薬名なり。
【本草綱目】に、陶弘景曰く、猪苓はその塊黒く猪屎に似たるが故に名づく。互いに詳説は前出の「豕」「豨」二字的条に譲る。
また山水の名なり。
【山海経】に渠猪山あり。渠猪水これより出でて南流し河に入る。
また水潭の名なり。
【北夢瑣言】に、邛州に水潭あり、牝猪出入するを猪龍湫という。
また州名なり。
【唐書・地理志】に猪抜州あり、隴右道に属す。
また【広韻】に猪口あり、地名なり。「

」とも書く。
【晋書・甘卓伝】に軍猪口に駐す。
また【閔公承伝】に「

口」と書く。
また【韻会】に通じて「瀦」と作り、水の停聚する所を指す。
【書・禹貢】に大野既に猪(水聚まる所)と為れり。
【孔伝】大野は沢名なり。水停聚する所を猪という。
【蔡伝】水蓄えて復た流出するを猪という。
【左伝・襄公二十五年】に庳湿を規して猪と為す。
【注】卑湿の地なり。
また孟猪あり、沢名なり。通じて「諸」と作る。
【書・禹貢】に孟猪に至る。
【蔡伝】【地理志】によれば梁国睢陽の東北に在り、すなわち今南京虞城県西北の孟諸沢なり。
【左伝・僖公二十八年】および【爾雅・釈地】に孟諸と作る。
また【字彙補】に照迦切とあり、音は「遮」に同じ。
【左伝・定公十四年】に宋の野人歌って曰く、既に汝らの牝猪を安んず、何ぞ我が牡猪を帰さざるや。干宝かく読む。
【広韻】に俗体「猪」と作る。