康熙字典解説
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【酉集下】【里部】野;康熙筆画:11;頁碼:1291 頁 05 行
古字は「埜」と書く。
【唐韻】は「羊者切」と注す。
【集韻】【韻会】【正韻】は「以者切」と注し、音は「也」に同じ。
【説文解字】に曰く、「郊外なり」。
【易経・同人卦】に曰く、「同人于野、亨」。
【疏】に曰く、野とは広遠の地を謂う。
【詩経・魯頌】に曰く、「駉駉たる牡馬、坰の野に在り」。
【伝】に曰く、邑の外を郊と為し、郊の外を野と為す。
また【周礼・地官・遂人】に「邦の野を掌る」と見える。
【注】に曰く、郊外を野と為す。此の野は甸・稍・県・都の区域を指す。
また【周礼・秋官】に「県士、野を掌る」と見える。
【注】に曰く、王城より二百里の外、三百里に至るを野と為す。
また【韻会】に質朴粗野と釈す。
【論語】に曰く、「質勝ちて文なれば則ち野なり」。
【礼記・檀弓】に曰く、「是を以て遽なる様は野なり」。
【疏】に曰く、田野の人、遽にして礼無し。
また官名を指す。
【左伝・昭公十八年】に「野司をして各々其の徴を保たしむ」と見える。
【注】に曰く、野司とは県士なり。
【礼記・月令】に「季春の月、野虞に命じて桑柘を伐る毋かれ」と見える。
【注】に曰く、野虞とは田土及び山林を主管する官なり。
また地名を指す。
【尚書・禹貢】に「原隰績を底げ、猪野に至る」と見える。
【伝】に曰く、猪野は地名なり。
【左伝・宣公十七年】に「晋人、晏弱を野王に執る」と見える。
【注】に曰く、野王県は今河内郡に属す。
また【昭公二十五年】に「斉侯、公を野井に唁ぐ」と見える。
【注】に曰く、済南祝阿県の東に野井亭有り。
また「鉅野」あり、県名なり。【前漢書・地理志】に見えたり。
また湖沢の名を指す。
【尚書・禹貢】に「大野既に猪たり」と見える。
【周礼・夏官・職方氏】に「河東を兗州と曰う。其の山鎮は岱山、其の沢藪は大野」と見える。
また復姓に「東野」有り。
【呂氏春秋】に「東野稷、御を以て荘公に見ゆ」と見える。
また【荘子・逍遥遊】に「野馬也、塵埃也、生物の息を以て相吹ずるなり」と見え、【注】に曰く、野馬とは浮遊の雲気を謂う。
また【博雅】に「野鶏は即ち雉なり」と見えたり。
また【広韻】【正韻】に「承与切」と注す。
【集韻】に「上与切」と注し、「墅」の字と同じ。
【集韻】に田間の房舎と釈す。
【正韻】に曰く、此れ本と古の「墅」の字にして、田字の下已に「土」に従う。後人其れ「郊野」の「野」の字に借り用いるが故に、復た「土」の旁を加えたるなり。
また【集韻】に「演女切」と注し、音「与」に同じ。意は郊外なり。
また【韻補】に葉音「賞呂切」、音「暑」に同じ。
【詩経・邶風】に「之子于帰、遠く野に送る」とあり、上の句の「羽」、下の句の「雨」と韻を協す。
【左伝・昭公二十五年】の童謡に「鸲鵒の羽、公外野に在り、往きて之に馬を饋る」とあり、「馬」の字は音「姥」なり。
また葉音「烏果切」、音「倭」の上声に似たり。
【後漢書・隴坻歌】に「我が欲する所を念じ、飄然として曠野なり。高きに登り遠く望めば、涕泣双堕す」と謳う。
また葉音「常御切」、音「樹」に同じ。
【班固・西都賦】に「罘網纮を連ね、山を籠め野を絡む。卒を列ねて周匝し、星羅し雲布す」と書く。
考証:【左伝・昭公十七年】の「野司をして各々其の徴を保たしむ」は、謹んで原文に拠り「十七年」を「十八年」に改む。