康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 253 ページ)
【丑集下】【大字部】奢;康熙画数:12;頁碼:253 頁 09 行。『広韻』式車切、『集韻』『韻会』詩車切、『正韻』詩遮切。読みは「賒」に同じ。『説文』に「張り拡げ、派手に振る舞う」とある。司馬相如『子虚賦』に「雲夢を極めに誇りて、その大いなる奢りを示す」とあり。また奢侈・浪費を指す。『毛詩序』に「『蜉蝣』の篇は奢侈の風を刺す」とあり。杜牧『阿房宮賦』に「秦は繁華奢侈を好む」とあり。また美人の名にも用いる。『荀子・賦篇』に「閭娵の子奢という美人あり、誰もその媒となることを知らず」とあり。また世人は妻の母を「阿奢」と称す。『通鑑』に「竇懐貞、韋皇后の乳母を継室とし、奏請するに自ら『皇后阿奢』と署名して恥じざりき」とあり。また古インド(西竺)では人を称えるに「蘭奢」という。『朱子語類』に「王導、宰相たるやただ人事に応ずるのみして一生を送れり。かつて座上に客二十余人ありて、逐一これを称賛せしに、唯西域の僧一人を称せず。少しくして始めて僧に謂いて『蘭奢』と曰えり(これ称賛の意なり)」とあり。また姓なり。奢比は黄帝の七輔の臣の一人なり。『路史』に「奢比は東方にて事理を明らにし、土師(土地・刑罰を掌る官)に任ぜられたり」とあり。『三才図会』には「奢北」と作る。『国名記』に奢北国あり。また陸機『感丘賦』に「粗布の衣を着て節儉を尚ぶ者あり、王侯の服を被って奢侈を崇ぶ者あり。長寿して高年に至る者あり、疫病によりて心志を喪う者あり」とあり。注に「奢・瘥の二字は皆六麻韻に属し、歌韻に帰すべし。『正字通』は『字彙』の誤を襲いて『奢』を歌韻に移すは非なり」とあり。また神名を指す。『山海経』に「奢比尸の神、其の北に在り」とあり。または「奓」と作る。詳しくは「奓」の字注を見るべし。また食遮切、読みは「蛇」に同じ。苗族の姓なり。明の万暦年間に奢崇明・奢進等の人有り。考証:また美人の名。『荀子・賦篇』に「閭娵の子奢、莫之媒也」とあり。謹んで按ずるに、原書『賦篇』は「論」の字を省き、「莫知媒也」を「莫之媒也」に改む。