康熙字典解説
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【寅集上】【尸部】居;康熙筆画:8;頁碼:300 頁 30 行
古代文献による記載:『広韻』は九魚切と注音し、『集韻』『韻会』『正韻』は斤于切と注音して、音は「車」に同じ。『説文解字』は「住む所」と釈す。字形は「尸」に従い、人が几(こ)を得て休息することを示す(古人は床に座り、几に凭れかかった)。『孝経』の「仲尼凥」を引く例として、「凥」は閑居を指し、かくのごとくその造字意図を理解する。今文では「居」と書く。
また、『広韻』は「安んずる」と釈す。『書経・盤庚』に「彼らが住む所を定める」。『礼記・王制』に「凡そ民を安んずるには、土地を量って邑を規画し、土地を考えて民を居せしむべし。土地・邑・民、必ず相互に協調して当を得べし」とある。
また、『書経・舜典』に「五宅三居」あり。〔注〕「三居」とは、周制における夷服・鎮服・蕃服などの辺遠の地を指す。
また、「坐す」を表す。『論語・陽貨』に「坐せよ、汝に告げん」とある。
また、「积聚・貯蔵する」を表す。『書経・皐陶謨』に「貿易を励まし、有無を通じ、各自囤積の貨物を交易す」とある。〔注〕「化」とは即ち交易のこと。各自囤積の物資を交易することを指す。
また、『史記・平準書』に「富商大賈数百を数え、廃居し奇を居して市場を操縦す」とある。〔徐広注〕「廃居」とは囤積貯蓄の称なり。売る所あり、囤積する所ありとは、時機を利用して利を図ることをいう。
また、「止む」を表す。『礼記・月令』に「季秋の時に春の政令を行わば、軍衆起こりて止まざらん」とある。〔疏〕止まざるを指す。
また、海鳥の名に爰居というあり。『国語・魯語』に「爰居魯の東門外に止まる」とある。
また、姓とする。漢代に居般あり、宋城侯に封ぜらる。
また、『広韻』『集韻』『韻会』は居之切と注音し、音は「基」に同じ。語気助詞として用いる。『礼記・檀弓』に「公儀仲子の喪に、其の孫を舎てて其の子を立てたり」。檀弓曰く「是何ぞや。予未だ嘗て斯の如きことを聞かず」。〔注〕驚怪を表す語にして、「何ぞの故」と言うがごとし。別の説に「何居」を「此の理いずくに在りや」と言うがごときなりとする。「居」は本音を読み、「基」の音に改むるを要せず。『集韻』はこの用法は「其」に通ずと言う。
また、葉音は居御切にして、音は「据」に同じ。『詩経・召南』に「布穀鳥そこに居す」。下の句の「御」の字と押韻す。『詩経・唐風』に「過度に安楽なるなかれ、常に自己の職分(居処)を思慮すべし」。下の句の「瞿」(去声)の字と押韻す。
按ずるに、『説文解字』中に「居」の別の釈として「蹲(うずくまる)」あり。『長箋』は「凥」は居住の所を表し、「居」は蹲踞を表すと考える。『韻会』『正韻』はこれを御韻に入れ、『詩経』の「居居悪を懐き、相親比せず」を引用して、「居」に倨傲(倨)の音ありと説明す。『正字通』に曰く:蹲踞の「踞」は「倨」に通ず。居止・居処を表すものと、蹲踞・倨傲を表すものは、経史典籍の用法に応じて分別して見るべし。
考証:『礼記・曽子問』の「居、吾汝に語らん」。謹んで按ずるに、『曽子問』にこの句なく、査するに『論語』中の文字なり。これに拠りて『論語・陽貨』に改む。『前漢書・食貨志』の「富商穀百数、廃居し、邑に居す」。〔徐広注〕「廃居は貯蓄の名なり」。謹んで按ずるに、徐広の注は『史記』に見えて、『漢書・食貨志』に在らず。謹んで「前漢食貨志」を「史記平準書」に改む。