康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 379 ページ)
【卯集上】【心部】懐;康熙画数:20;頁 379。古文に褱と作る。【唐韻】戸乖切、【集韻】【韻会】乎乖切、音は槐。【説文】念思うなり。心に従い褱声す。【論語】君子徳を懐く。また帰するなり。【書・大禹謨】黎民これを懐く。【註】これに帰するなり。また来るなり。【詩・斉風】いずくんぞまた懐止まんや。また【周頌】百神を懐柔す。【註】懐は来たるなり。また安んずるなり。【書・秦誓】邦の栄えて懐くるなり。【詩・王風】懐哉懐哉。また包むなり。【書・堯典】蕩蕩として山を懐き陵を襄ぐ。また蔵するなり。【論語】その宝を懐いてその邦を迷わしむ。【礼・曲礼】核ある者はその核を懐く。また慰むるなり。【詩・檜風】これを懐きて好音す。また懐抱は胸臆なり。【左伝・成十七年】瓊瑰我が懐に盈つるか。【論語】然して後に父母の懐を免る。また傷むなり。【詩・邶風】言を願えばすなわち懐く。【毛伝】懐は傷むなり。また私なるなり。【詩・小雅】毎に懐けば及ぶことなし。【箋】懐は私なるなり。また【爾雅・釈詁】至るなり。【註】斉魯の会郊を懐と曰う。【詩・小雅】懐允にして忘れず。【箋】至るなり。至信にして忘れず。また【爾雅・釈詁】止まるなり。【疏】至り止まるなり。また【釈名】懐は回るなり。本去る意有り、回来りて已むなり。また帰すと曰うも、来り帰りて已むなり。また【諡法】慈仁哲行を懐と曰う。また地名。【書・禹貢】覃懐績を底ぐ。また州名。春秋の時野王邑、漢河内郡、唐に懐州を置く。また姓。三国呉の尚書郎懐叙。また褢に通ず。【前漢・許后伝】褢誠にして忠を秉く。また胡隈切に叶い、音は回。【詩・周南】彼崔嵬に陟り、我が馬虺隤す。我姑に彼金罍を酌み、維以て永く懐いざらしむ。また呼回切に叶い、音は揮。【楚辞・九歌】長太息兮将に上らんとし、心低回兮顧みて懐く。羌生色兮人を娛し、観者憺兮帰りを忘る。【魏文帝・苦寒行】頸を延べて長太息し、遠行多く所懐有り。我が心何ぞ怫鬱せん、思って一たび東帰せんと欲す。また苦禾切に叶い、音は窠。【淮南子・時則訓】平にして阿らず、明にして苛ならず。包裹覆露、囊懐せざるなし。【周伯琦曰】褱は衣中に蔵挟するなり。衣に従い眔声す。心の所思念蔵貯するも亦褱と曰う。隷書に懐と作る。考証:【楚辞・九歌】「長太息兮将上、心低回兮顧懐。羌生色以娛人、観者憺以忘帰」。謹んで原文に照らし、両「以」字を「兮」字に改む。【淮南子・五位篇】「平而不阿、明而不苛。包裹覆露、無不囊懐」。謹んで原書に照らし、「五位篇」を「時則訓」に改む。