【亥集下】【麻部】麻;康煕筆画:11;頁碼:1515 頁 01 行
『唐韻』『集韻』に莫遐切、『韻会』『正韻』に謨加切とあり、音は「蟆」に同じ。
『玉篇』に曰く、苧麻の類なる植物なり。その皮は紡いで布となし、その子は食すべし。
『爾雅・釈草』に「枲麻」と称す。
『爾雅疏』に解説して曰く、麻はまたの名を枲とす。『尚書・禹貢』青州の条に「岱畎絲枲」とあるは、即ちこれなり。
『礼記・内則』に曰く、女子は麻枲を治むる女紅を学び、以て衣服に供すべし。
また、実を結ぶ大麻を「苴」といい、実を結ばざるを「枲」という。
『本草』に曰く、雄株を枲麻・牡麻といい、雌株を苴麻・茡麻という。
また荨麻あり。荨は本来「𦾓」と書く。『本草図経』に見える。
また『詩経・豳風』に「禾麻菽麦」とあり。
『礼記・月令』に曰く、(孟秋の月)麻の子と犬肉を食す。
『黄帝素問』に曰く、麻・麦・稷・黍・豆は五穀なり。
『正字通』に曰く、麻とは油麻のことなり。
また胡麻あり。
『爾雅翼』に曰く、胡麻はまたの名を巨勝という。
『正字通』に解説して曰く、大にして良なるをいうて、即ち今の黒芝麻なり。
また疏麻あり。
『楚辞・九歌』に曰く、「疏麻を折りて兮その花の如玉なる」。
注に曰く、疏麻は神麻なり。
また升麻・天麻あり、みな薬名なり。
また楽器を指す。鼗鼓の名称なり。
『爾雅・釈楽』に曰く、大なる鼗を「麻」といい、小なるを「料」という。
注に曰く、「麻」と称する鼓は、声概ねにして悠長なり。
また固麻あり。
『南史・百済伝』に曰く、百済国は王の都する所を「固麻」と呼び、城邑を「檐魯」と呼ぶ。中国の郡県に相当す。
また『山海経』に寿麻国ありと記す。
また地名なり。
『左伝・成公十三年』に曰く、晋師と秦師と麻隧に戦う。
注に曰く、麻隧は秦地なり。
また『後漢書・蓋延伝』に曰く、南して劉永を伐ち、進んで麻郷を取る。
注に曰く、麻郷は県名なり。
また姓なり。
『風俗通』に曰く、(麻氏)は斉の大夫麻嬰の後なり。漢に麻達あり、かつて『論語』に注す。
また朝廷の詔書を「麻」という。
『翰林志』に曰く、唐の中書省は黄麻紙・白麻紙を用いて詔令を書す。後に翰林院専ら白麻の詔を掌り、中書省独り黄麻の詔を用う。
また『韻補』に葉謨婆切と音す。
『詩経・斉風』に曰く、「東門の池、以て麻を沤す。彼れ美しき姝、与に歌う可し」。
また眉波切に叶い、音は摩なり。
潘岳『河陽詩』に曰く、「曲れる蓬いかにして直からん、惟だ叢生する麻に託して身を依るべし。民の命いずくんぞ常あらん、政は民心の和を成すに在り」。
『六書正訛』に字形を分析して曰く、「

」(音は派)に従って麻片を示し、「广」に従って人が屋下に在るを示し、麻を整治するの意なり。俗体「木」に従う「麻」と書くは誤りなり。