康熙字典解説
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【卯集上】【心部】慶;康熙筆画:15;頁碼:400 頁 13 行
古文。【唐韻】丘竟切。【集韻】【韻会】【正韻】丘正切。卿の去声(慶)に読む。
【説文】往きて賀するを指す。
【周礼・春官・宗伯】賀慶の礼を用いて、異姓の諸侯を親しむ。
【疏】諸侯に賀すべき喜事あるとき、周王は大夫を遣わして幣帛を持たせ、往きて慶賀するという意。
又【秋官・大行人】賀慶をもって諸侯の喜事を助くとは、この謂いなり。
又、善・好を指す。
【書・呂刑】天子一人に善行あり。
【正義】天子に良き所為あるを指す。
【詩・大雅】ここにその善行を厚く待す。
【毛伝】善の義。
【正義】福と慶とは皆好事なれば、故に善と釈す。
又、美・好を指す。
【礼記・月令】褒賞を施し、恩恵を与える。
【註】慶とはその善行を嘉奨するなり。休は美の義。
又、福を指す。
【易・履卦】大いに福慶あり。
【詩・小雅】孝子孫は福慶あり。
又、賞賜を指す。
【詩・小雅】これにより賞賜あり。
【箋】賞賜の栄えあるを言う。
又、発語の辞とする。
【揚雄・反離騒】天の悴れて栄を喪うを慶ぐ。
又、州名。隋に慶州を置く。
又、姓なり。
【左伝】斉の慶封、晋の慶鄭。
又【集韻】【韻会】丘京切。音は卿。
【易・大畜・五・上の両爻伝】福慶かな、正道大いに行わる。慶と行と韻を協す。
又【睽卦・四・五の両爻伝】志行わるかな、往けば福慶あらん。行と慶と韻を協す。
【班固・白雉詩】儀容潔明にして純粋精誠に在り、白羽を舒べ翹英を振るう。皇徳を彰して周の成王に侔し、永く綿長にして天の福慶を承く。慶は精・英・成等の字と韻を協し、皆庚韻に属す。
およそ「慶」の字は「卿」の去声にして、平声に転ずれば「卿」となる。ゆえに「卿雲」をまた「慶雲」ともいう。近来崑山の顧氏(顧炎武)は音韻に通ぜず、竟に『易』中の「慶」字は皆「羌」の音に読み、「行」字は皆「杭」の音に読むと説けり。これ偏見にして、『易』中に本来「羌」と韻を協するものあるを知らざるなり。「慶」字の本音たる「卿」を棄つべからず。
又、韻して虚羊切、音は羌。これも福の義。
【易・坤卦】善を積む家は、必ず余慶あり。下文の「殃」と韻を協す。
【書・伊訓】天下万国みなこれを慶ぶ。上文の「祥」と韻を協す。
【詩・大雅】ここにその福慶を厚く待す。下文の「光」と韻を協す。
又【小雅】孝子孫は福慶あり。下文の「彊」と韻を協す。
字形は「心」と「久」より成る。久は行くの義。吉礼には鹿皮を贄とす。字形は「鹿」を省きたるものにして、会意に属す。