康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 379 ページ)
【卯集上】【心部】怇。康煕筆画 9、頁碼 379 第 10。『集韻』『韻会』に「臼許切」、音は「巨」とあり、義は傲慢なり。また「鉅」に通ず。『荘子・列御寇』に「一命して呂鉅す」と見え、注に「怇と同じ。驕り高ぶる貌なり」とある。按ずるに、『後漢書』梁鴻伝の詩に「嗟え、恇恇たり、誰か留めん」とあり、善本は皆「恇恇」に作り、注に「怯懦の意」とす。ある版本誤って「怇」に作るも、陰復春これを本字の下に引くは非なり。『広韻』に「怇」の字無く、『集韻』に之有り。これ『広韻』略にして『集韻』詳なるが故なり。『広韻』『集韻』ともに宋代の韻書にして、唯『広韻』のみ孫愐の『唐韻』序を載するのみ。いかにして『広韻』すなわち『唐韻』なりと謂うべけんや。世に未だ『唐韻』を見ざる者、いかにして『唐韻』に「怇」の字なきを知り、また『集韻』所载の「怇」が『唐韻』に出でざらんことをいかにして知るべけんや。『通雅』、「怇怇」は「恇恇」の訛なりと為すは、おそらくただ梁鴻の詩における「恇恇」の正字を弁ずるのみならず、必ずしも「怇」の字なきを謂うに非ず。『正字通』、『字彙』を攻めて「怇」の字を捨てたるは、みな臆断に凭るなり。