康熙字典解説
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【亥集上】【馬部】駭;康煕筆画:16;頁碼:1438 頁 08 行。『唐韻』侯楷切、『集韻』『韻会』『正韻』下楷切、音は蟹。『玉篇』に「驚き起つ」とあり。『公羊伝・哀公六年』に「諸大夫これを見て、皆色然として駭く」とある。『荘子・大宗師』に「かつ彼には形を駭くするあれども心を損ずるなし」とあり、註に「変化をもって形の駭動と為すのみ、故に死生をもってその心を損累せざるなり」と説く。また『集韻』に「駴と同じ」とあり。『周礼・夏官・大司馬』に「鼓みな駴ず」と見え、『釈文』に「駴は本また駭に作る」とある。『王粲・英雄記』に「兵を整え鼓を駭く」と記す。また「散ず」の義もあり。『陸機の詩』に「三后始めて基を構え、世武丕に承け、協風旁に駭き、天晷仰いで澄む」とあり、註に「和風遠く四方に馳せるを言う」と解す。また水名なり。『書経・禹貢』に「九河既に道う」とあり、伝に「九河、一に徒駭と曰う」と見え、疏に「禹九河を疏うること徒衆を起こすにより、故に徒駭と云う」と説く。また人名なり。『春秋・隠公二年』に「無駭師を帥いて極に入る」とある。また許己切に叶い、音は喜なり。『呉子・治兵篇』に「その耳目を戢め、驚駭せしむるなかれ。馳逐を習い、進止を閑にせよ」とあり。『韓愈・鄆州渓堂の詩』に「浅きには蒲蓮あり、深きには葭葦あり。公燕して賓をもてなし、その鼓駭駭たり」と見える。また于支切に叶い、音は怡なり。『韓愈・瀧吏の詩』に「官今自ら到るに行かん、あに遽かに妄りに問うことを為さんや。虞せず卒然として困を見、汗出でて愧じかつ駭く」とあり、按ずるに古音は駭を矣と読み、転じて怡声と為す。また喜語切に叶い、音は許なり。『陸機・凌霄の賦』に「扶桑に因りて東顧す、天傾光の駭くべきを惑い、坤輿の茫茫たるを惑い、心蒙蔽されて緒なし」とあり、註に「緒は上声」と説く。また許計切に叶い、音は戯なり。『蘇轍・黄楼の賦』に「魚龍を隍壑に舞わせ、帆檣を睥睨に閲す。まさに飄風の迅発、鼙鼓の驚駭を震わす」と見える。考証:『陸機の詩』「三后始めて基を構え、世武不に承く」は、原文に照らして「不承」を「丕承」に改むべし。