【辰集中】【木部】樊;康煕筆画:15;頁碼:549 頁下段 15 行。【唐韻】附袁切、音「煩」に同じ。【説文解字】「

」に作り、猛き鳥縛られて飛ぶ能わざるを謂う。字形は「

」と「棥」とより成る。【徐鉉の説く】「鷙」とは繋ぐの義なり。鷹隼の類、檻を見て出ずること能わざるは、左右(翼)皆外に牽かれたるが故なり。【広韻】樊とは檻なり。【荘子・養生主】沢中の雉、十歩にして一啄し、百歩にして一飲す。檻中に養わるるを欲せず。また「棥」に通ず。【詩経・小雅】樊籬に止まる。【説文解字】「棥」に作る。【孫炎の説く】すなわち「樊圃」の「樊」なり。籬を指す。【荘子・山木篇】荘子、彫陵の樊内に遊んで、蝉の美蔭を得て其身の忘るるを見る。また紛乱雑錯たる様を指す。【荘子・斉物論】紛然として錯乱す。また国名なり。【詩経・大雅】仲山甫を生む。【毛伝】仲山甫は樊国の諸侯なり。また地名なり。【左伝・隠公十一年】周王、鄭より田を取りて、温・原・絺・樊等の地を鄭人に与う。また姓なり。【姓苑】仲山甫の後にして、封国を以て氏とす。また【正韻】符艱切、音同じ。また「鞶」に通ず。【周礼・春官・巾車】王の五路を掌る。其一は玉路(玉を以て飾れる車)にして、馬額金の飾り「鍚」、馬腹帯「樊」、馬頸帯「纓」を備う。鄭玄の注に曰く:樊は音「鞶」のごとく、馬の腹帯なり。『釈文』に歩干反と音す。『左伝』に「繁纓」と作る。また【高誘の説く】扶万切、音「飯」に同じ。樊桐は山名なり。【淮南子・地形訓】樊桐の山は崑崙の閶闔門の中に在り。また葉音汾沿切、音「楩」に似たり。【左思・贈妹詩】才華富麗にして漢の班婕妤に比し、聡明朗らかなること楚の樊姫のごとし。黙記すること録のごとく、筆を下せば即ち文章を成す。【白居易・中隠詩】大隠は朝市に隠れ、小隠は山林田園に隠る。中隠に如かずは、月ごとに俸禄あり。按ずるに、『説文解字』は「

」部に「樊」字を収むるに、下は「大」字にあらず。今誤って此部に収む。考証:【周礼・春官・巾車】玉路、錫樊纓。謹んで原文に照らし、「錫樊纓」を「鍚樊纓」に改む。【鄭注】鞶は馬の大帯なり。歩干切、鞶に通ず。【左伝】曲県・繁纓と作る。謹んで按ずるに、「歩干切」以下は鄭玄の注にあらず。謹んで原文に照らし改めて曰く:鄭注、樊は読むこと鞶のごとく、馬の大帯なり。釈文に歩干反。左伝に繁纓と作る。