康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 97 ページ)
【子集上】【人部】但;康熙筆画:7;頁碼:97 頁 21 行。【唐韻】徒旱切、【韻会】蕩旱切、【正韻】徒亶切、音は「誕」。意味は「いたずらに」「すべて」であり、また「空しく何もない」を指す。【前漢・食貨志】に「百姓、祭祀または喪事を行ひたいれども財なき者は、銭府、収むる工商の税を以て暫く貸し与ふべし」とある。また語助詞として用ひられ、「特」「也」に相当す。「亶」に通ず。詳しくは前の「亶」字の注を参照せよ。また「誕」に通ず。【淮南子・説山訓】に「媒、欺く。欺くことを学べるにあらず、欺き既に成れば則ち信ならず」とあり、【注】に「但、欺くの意味」と説く。また「但馬」、また「誕馬」ともいひ、散馬のことなり。【宋書・江夏王義恭伝】に「平車の用ふる散馬、二匹を超えず」とあり。【程氏・演繁露】に「誕馬は即ち徒馬なり。今、地方官の儀仗に散馬先行して坐馬と称す。また引馬ともいひ、即ち但馬なり」とあり。【遼史】には「馬」と作る。また【集韻】【韻会】徒案切、【正韻】杜晏切、音は「憚」。意味同じ。また姓なり。漢に西域都尉但欽、済陰太守但巴あり。宋に進士但中庸あり。また音「鉏」。古の竽を吹くことを知らざる人を指す。【淮南子・説林訓】に「但をして竽を吹かしめ、氐をして孔を押さしむれば、合拍すと雖も聴くに堪へず」とあり、【注】に「但、鉏と読む」とす。【説文解字】に「但、袒なり」とあり。【正訛】に「偏袒し、または袖を脱ぐを指す。借りて語助詞と為す」とす。考証:また音「燕」。古の竽を吹くことを知らざる人を指す。【淮南子・説林訓】に「但をして竽を吹かしめ、氐をして孔を押さしむれば、合拍すと雖も聴きに堪へず」とあり、【注】に「但、音燕」とす。謹んで按ずるに、『淮南子』注の「但、燕と読む」は、「鉏」と音同じきを謂ふ。意は燕地の人の発音のごとく読むべしといふにて、「鉏」自ら「燕」と読むに非ず。上文の「音燕」を「音鉏」に改め、下文の「音燕」を「読鉏」に改む。