康熙字典解説
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【酉集上】【言部】詞。康煕筆画 12、頁碼 1156-09。古文。【唐韻】似茲切、【集韻】【韻会】【正韻】詳茲切、音は祠。【説文】に「意内に含みて言外に発する」とあり。【釈名】に「継ぐの義なり。美辞をして撰せしめ、之を相継がしむ」とあり。【広韻】に「述ぶるの義なり」とあり。【正韻】に「言語なり」とあり。【字彙】に「文辞なり」とあり。【公羊伝・昭公十一年】に「【春秋】は信なる史書なり。その文辞に至りては、則ち我れ丘に罪あり」という。【史記・儒林伝】に「時に天子方いに文辞を好む」とあり。【晋書・郭璞伝】に「璞の詞賦は、晋の中興以来第一なり」とあり。【旧唐書・張九齢伝】に「説常に人に謂いて曰く、【後進の詞人にして魁首なり】」とあり。また【陸贄伝】に「贄は博学宏詞科により進士に登第す」とあり。【韓非子・問田篇】に「名誉と言辞とに駆られ、巧弁の学説に惑わさる」とあり。また【博雅】に「止むの義なり」とあり。また【広韻】に「請い、告ぐるの義なり」とあり。按ずるに、【説文】の本は「意内言外」と作る。【韻会】これを引きて「音内言外」とす。また徐鉉の言を引きて曰く、「惟・思・曰・兮・斯等の字は皆詞にして、語の助なり。声を合して調を成すを音と謂う。この詞は但だ声の内にて助くるのみ、声は音の外に出ず、故に【音の内】と云う。直ちに発するを言と謂い、一字も亦た言と謂う。この詞は皆句の外にて助くるものなれば、故に【言の外】と云う」という。【楚辞・宋玉・招魂】に「魂よ来れ、東方には寄るべからず」とあり。「些」も亦た詞なり。詳らかにせずんば、声発して言となり、言組んで文となるを詞と為すべく、機械的に「内」「外」を以て之を区別すべからず。しかも「詞」と「兮」「些」とは各々差別あり、皆語助詞の例と為すべからず。【字彙】は【韻会】の旧注を襲って用うるも、非なり。また按ずるに、【説文】に「辞」は訟の義なり。「辤」は受くるを辞するの義なり。言语文辞を表す「詞」とは各々異なる。今経史典籍中に「辞」を以て言语文辞の「詞」と為すことあり。例えば【礼記・曲礼】の「辞費せず」是なり。「辞」を以て推辞受容の「辤」と為すことあり。例えば【論語】の「之に粟九百を与え、辞す」是なり。「辤」を以て文辞の「詞」と為すことあり。例えば【楊修伝】の「絶妙好辤」是なり。沿襲久しくして更正すべからず。然れども六書を研究する者は、辨別せざるべからず。