康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 594 ページ)
【辰集下】【毛部】毳;康煕筆画:12;頁碼:594 頁 19 行
【唐韻】【集韻】【韻会】此芮切、音脆。
【説文】獣の細き毛。
【方言】揄鋪はすなわち毳なり。
【周礼・天官・掌皮】その細毛を供して氈を作り、以て国の用に備う。
【鄭注】毳毛とは、毛の中にて細密にして繁多なるものなり。
【王褒・聖主得賢臣頌】氈を担ぎ毳衣を被る者には、純粋なる綿の美麗細密を説くこと難し。
また礼服の冠冕の名を指す。
【周礼・春官・司服】四方山川を祭祀するときは毳冕を着く。
【又】子爵・男爵の礼服は、毳冕以下、侯爵・伯爵の礼服と同じ。
【尚書・正義】毳冕には五種の紋あり、虎と蜼(長尾猿の一種)の図を首とする。虎と蜼の毛は浅く、毳は雑乱せる毛なれば、故に毳をもって名づく。
【詩経・王風】毳衣は初生ずる荻の色のごとし。
【毛伝】毳衣は大夫の礼服なり。
【箋】古に天子の大夫は毳冕を着て諸侯国を巡視す。天子の大夫は四命(周代の官爵の等級)にして、京を出て封ぜらるれば五命となり、子爵・男爵の礼服に同じ。故に毳冕を着ることを得。
また火毳あり、すなわち火浣布(石綿布)なり。
【後漢書・西南夷伝論】賨布・幏布・火毳・馴養の禽鳥・封賞の獣類等の賦税、宮中の府庫に積む。
また鳥の腹部の毛を毳という。
【説苑・尊賢篇】背の毛、腹下の細毛。
【杜甫詩】軽風に吹き上げらるる鳥腹の細毛。
毳幕はすなわち氈帳なり。
【李陵・答蘇武書】皮の臂鞲と氈帳。
また僧の一種の衣服を指す。
【法苑珠林】衣服の中に四種あり:一には糞掃衣(廃布を拾い縫い合せて作る)、二には毳衣(鳥獣の細毛にて織る)、三には衲衣(補綴して成る)、四には三衣(三種の規定せる僧衣)。
また細小柔軟なるものは折れやすきを指す。
【荀子・議兵篇】弱き敵に対すれば、苟且敷衍の法をもって応ずべし。
【文子・道原篇】意志柔弱なる者は柔軟怯懦にして静を好む。
「脆」に通ず。
【老子・道徳経】其れ脆弱にして砕け易し。
【国語・晋語】臣脆弱にして、忍耐待ち難し。
また柔美可口なるものを甘毳(美食)という。
【史記・聶政伝】朝夕に美食を得て母を養う。
【前漢書・丙吉伝】屡々美食を進奉す。
また「脆」と意同じ。
また「膬」に通作す。
【管子・覇言篇】堅きを避けて脆きを攻む。
【枚乗・七発】甘脆なる食物と腥膻濃稠なる汁。
また姓なり。【姓苑】に出ず。
また【集韻】儒税切、音汭。
また妹悦切、音歠。
意同じ。
また【集韻】租悦切、音蕝。
「橇」と同じ。
【前漢書・溝洫志】泥地に行きて毳(橇)に乗る。
【史記】は「毳」と書く。
【注】孟康曰く:毳は簸箕の竹のごとく、泥地に劃行す。如淳曰く:毳は木板を泥地に置いて通行に用いるをいう。師古曰く:毳はまさに其の本音を読むべし。