康熙字典解説
康熙字典の原典を見る(第 162 ページ)
【子集下】【厂字部】厭;康熙筆画:14;頁碼:162 頁 51 行
【唐韻】於葉切。【集韻】【韻会】益涉切。音は「饜」の入声に近い。
【説文解字】「笮(さく)」と釈す。字形は「厂」に従い、声符は「猒」なり。
【徐鉉曰】「笮」とは鎮圧・抑制の意なり。一説に「伏」ともいう。
【左伝・昭公二十六年】「将に以て衆を厭(おさ)えんとす」と載す。
【前漢書・杜鄴伝】に「衝を折り難を厭う」とあり。
【注】「厭」とは圧することで、禍難を鎮圧して消解せしむるを指す。
また【正韻】に従順なる様を表す。
【荀子・儒効篇】「天下厭然として猶お一の如し」。
また【増韻】に禳除・抵挡の意味あり。
【史記・高祖本紀】「ここに因りて東遊して之を厭う」。
また閉じる・迫るの意。
【周礼・春官・巾車】「王后翟を厭う」。
【注】羽毛を排列するに互いに贴近せしむるを指す。
また減損の意。
【左伝・文公二年】「晋の処父と盟して之を厭う」。
【注】「厭」は減損に同じ。
また【儀礼・郷飲酒礼】「賓介を厭えて門に入り左に就く」。
【注】手を推して礼するを「揖」といい、手を引いて礼するを「厭」という。
【疏】「手を引くを厭と曰う」とは、手を自己の方向に牽引するを指す。
また【広韻】悪夢を指す。
また【集韻】「厭次」は地名なり。
また【集韻】時に「圧」と書く。
また【唐韻】【集韻】【韻会】【正韻】於艶切。音は「饜」の去声に近い。
【集韻】満足すと釈す。
【詩経・周頌】「其の傑たる有りて厭たり」。
【注】「厭」とは(植物が)受くる元気充足せるを指す。
【前漢書・王莽伝】「克く上帝の心を厭う」。
【注】「厭」とは満つるの意なり。
また【韻会】「厭」は「斁」に通じ、倦むを指す。
【詩経・葛覃】「之を着て斁(あ)きなし」。注:斁すなわち厭なり。
また通じて「饜」と作す。
【礼記・曽子問】孔子曰く「陰厭有り、陽厭有り」。
【注】「厭」とは飽足の意なり。
また【唐韻】【集韻】於琰切。【正韻】於検切。音「掩」。
【荀子・解蔽篇】「目を厭えて視る者は、一を見て両と為す」(目を押さえて視れば、一つを二つと見なす)。
また【正韻】に嫌悪の意あり。
【論語】「天之を厭う」。
また【広韻】妖術をもって人を惑わすを指す。別に「魘」と書く。
【韓愈・湘西寺に遊ぶの詩】「怵惕として夢魘と成る」。
また【正韻】「黡」と同ず。音は「掩蔵」の「掩」と同じ。
【礼記・大学】「君子を見て後に厭然たり」。
【注】「厭」は「黡」に読む。閉蔵・躲蔵する様なり。
また【集韻】於塩切。音「懕」。
【説文解字】安とし釈す。
【詩経・小雅】「厭厭夜飲」。
【詩経・秦風】「厭厭良人」。
【注】安静なる様を指す。
また【正韻】「㱃」(飽足)と同じ。
【左伝・昭公二十八年】「属して厭のみ」。
【杜預注】小人の腹飽きて、なお満足を知るという。
また【集韻】【正韻】乙甲切。音「押」。
【前漢書・劉向伝】「抑厭して遂に退く」。
【注】顔師古曰く:厭、音乙甲反、圧抑されて伸展せざるの意なり。
また【荀子・儒効篇】「旦を牧の野に厭う」。
【注】「厭」は臨近の意あり、天まさに明けんとする前を指す。
また【正韻】通じて「圧」と作す。
また【集韻】乙及切。音「邑」。「厭邑」は湿潤なるの意。
また【集韻】烏感切。音「暗」。沈溺の意あり。
【荘子・逍遙遊】「其の厭うるや緘の如し」(其れ沈溺すること封ぜられたるが如し)。