康熙字典解説
【玉篇】に「これは古文の【溺】の字なり」と記す。【元包経】に曰く、「大過の卦象は、舟が水に沈むなり」。○按ずるに、【説文解字】において「溺」の字の注釈は「弱水」の「弱」と同じく、音は「而灼切」なり。しかるに「㲻」の字の注釈は「沈没する」の義にして、音は「奴歴切」なり。音・義ともに全く異なる。今、【禹貢】の「弱水」はみな「弱」と書き、水偏を付さず。およそ【禹貢】の写法を以て標準とすべきか。しかして沈没を表す「㲻」は一概に「溺」と書く。今、【玉篇】に拠りてこれを古文の「溺」と為し、ここに両字は古今字の関係となりたるを記録して、考証に備う。