康熙字典解説
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【卯集上】【心部】悪。康煕筆画:12。頁碼:391 頁下段 25。古文に亜と作る。『唐韻』烏各切、『集韻』『韻会』遏鄂切、『正韻』遏各切。音は垩に同じ。『広韻』に「不善なり」とあり。心に従い亜声す。『通論』に「心有りて悪なるを悪と謂ひ、心無きして悪なるを過と謂ふ」とあり。また醜陋なるをいう。『書・洪範』に「六極、五曰く悪」とあり。伝に「醜陋なり」とあり。『五行伝』に「貌恭しからざるの罰なり」とあり。また瑕疵をいう。『周礼・冬官考工記・筑氏』に「敝尽きて悪無し」とあり。注に「敝尽くと雖も、瑕疵無し」とあり。また粗劣なるをいう。『史記・項羽本紀』に「悪食を以て項王の使者に食らわしむ」とあり。粗劣なる飯食を指す。また年成の不善を歳悪という。また器物の粗劣を苦悪という。また糞便の汚穢をいう。『前漢・昌邑王伝』に「是のごとく青蠅の悪なり」とあり。師古曰く、「悪とは即ち屎なり」。越王句践、曽て呉王のために悪を嘗めたり。また性情多く喜ばれざるを性悪と称す。『後漢・華陀伝』に「人の性悪にして意を得難し」とあり。また『広韻』烏路切、『集韻』『韻会』『正韻』烏故切。汚去声。憎恨なり、厭悪なり。『左伝・隠公三年』に「周鄭交悪す」とあり。注に「双方互いに憎悪す」とあり。また忌諱をいう。『礼記・王制』に「諱悪を奉ず」とあり。注に「奉は進献を指し、諱は先人の名を指し、悪は子・卯の忌日を指す。意は君王に進献するに、所諱と所悪の日を避くべし」とあり。また羞恥をいう。『孟子』に「羞悪の心」とあり。また『広韻』哀都切、『集韻』『正韻』汪胡切、『韻会』汪烏切。音は汚に同じ。疑問を表し、いかに、いずこをいう。『論語』に「悪乎(いずくんぞ)名を成さん」とあり。『孟子』に「居いずく在る」とあり。また嘆詞。『孟子』に「悪、是何れの言ぞや」とあり。また滹と同じ。『礼記・礼器』に「晋人河に事あらんとせば、必ず先に悪池に事あり」とあり。『古今字考』に「悪は滹に同じ、池は沱に同じ、即ち滹沱河なり」とあり。古はただ亜と書き、心旁を加えて悪とし、言旁を加えて訁(注:原文「訁」は悪の異体または関連字、此处原字を保つ)とする。転注の字なり。各自声を転じて亜・悪・訁の三字を成す。『集韻』に即ち悪の字なり。